合併球団オリックス・バファローズの初代監督は仰木彬だ。絶妙な選手起用や采配から「マジシャン」の異名を取った仰木の名言にこういうものがある。「野球は負けたり、勝ったり」-。長いシーズン、勝ってばかりのはずはない。だが「負ける」方から言うのがこの人らしさか。30年前のブルーウェーブ担当記者時代、野球、人生を教えていただいた。
そんなことを思い出したのはオリックス相手なのはもちろん、阪神が今季ワーストの4連敗を食らったからだろうか。エース村上頌樹が自身初の2連発被弾から始まった試合はほとんど反撃できず、終わった。
1点こそ挙げたが2死満塁から5番打者の押し出し四球だけ。勝っていればそれもいいのだろうが、こうなると四球を選ぶより打ってほしかった…などと思うのは人情か。
交流戦に苦しむ阪神は、これで同戦10敗目、4勝10敗となった。最大「11」あった貯金も「5」に目減り。これは4月16日、甲子園で田中将大に負けたとき以来、約2カ月ぶりだ。今季を振り返っても大きな苦境に陥っている状況だろう。
だが暗いことばかり言っても仕方がないので書くが、この日ばかりは仕方ないという気もするのだ。オリックスは先発初起用となったペルドモから実に8投手の継投。いわゆる「ブルペンデー」になったのだが、こうなると正直、そう簡単には打てない。
負けるときは負ける。それがたまたま3連敗の後の試合だったということかもしれない。もちろん指揮官・藤川球児を始め、首脳陣はそれではすまないし、打順変更など何か手を打つべきだとは思うが。
個人的に、いま、期待するのは森下翔太だ。普段は柔和な若者だが試合モードに入ると妙に近寄りがたい気配になる。カープ時代の鈴木誠也(現カブス)に同じ様子を感じたことを思い出す。この日は3回に唯一の長打(二塁打)を含む2安打だ。
6日の楽天戦で退場処分になった森下はその後、この日までの4試合、つまり4連敗中、15打数6安打の打率4割だ。おとなしい選手の多い阪神にあって、こういうメンタルの若者は興味深い。
「勝敗は仕方ないと思うので、また明日から切り替えてやっていきます」という談話も悪くない。ここは京セラドーム大阪のスタンドに打ち込んで流れを変えてもらおうか。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




