沖縄の興南が、全国のトップを切って甲子園出場を決めた。エース島袋を擁し、春夏連覇を達成した10年以来、5年ぶり10度目の全国舞台。島袋をほうふつとさせるトルネード左腕、比屋根雅也投手(2年)の投打の活躍で糸満を下した。

 比屋根 3年生と1日でも長く野球がしたかった。自分の投球をすることを意識した。優勝できてうれしい。打撃も9番なのでリラックスして打てました。

 降雨で序盤は制球に苦しむ場面もあったが終盤3イニングは走者も許さなかった。打っても7回に1死二塁から中越え適時二塁打でダメ押しの4点目。自らのバットで投球を楽にした。

 準決勝前日。沖縄に帰省していた先輩の島袋が寮を訪れ「頑張れよ!」と激励を受けた。5年前の春夏連覇を見て「強いチームで野球がしたい」と興南を選んだ左腕は、先輩のサプライズに奮起。昨年スタンドで味わった1回戦敗退の悔しさをぶつけた。

 10年の春夏連覇後、チームは低迷した。ここ3年、夏は3回戦が最高だった。「連覇は忘れろ。自分たちで新しい歴史をつくれ!」と選手たちを鼓舞し続けた我喜屋優監督(65)は「ここまで苦しかった。甲子園は楽しむところ。堂々と自分たちの野球をさせたい」とほおを緩めた。

 比屋根は「憧れの先輩たちに追いつけるよう、甲子園でも優勝したい」と、声を弾ませた。目指すは参加3906校の頂点。5年ぶりに戻る大舞台で、再び興南旋風を巻き起こす。【福岡吉央】

 ◆興南 1962年(昭37)私立興南学園として創立。普通科のみで生徒数は856人(女子は319人)。野球部創部は62年。部員数119人。甲子園は春4度、夏は10度目の出場。優勝は春夏ともに10年の1度ずつ。主なOBは仲田幸司(元阪神)島袋洋奨(ソフトバンク)具志堅用高(ボクシング元世界王者)。所在地は沖縄県那覇市古島1の7の1。我喜屋優校長。

◆Vへの足跡◆

2回戦6-0石川

3回戦4-1南風原

準々決勝3-0八重山

準決勝3-1沖縄尚学

決勝4-2糸満