敗者の控室で、今春のセンバツ準V右腕は、大粒の涙を何度もぬぐった。東海大四のエース大沢志意也投手(3年)は「夏の日本一を目標にやってきた。自分のミスで負けてしまって、本当に申し訳ない」。戻れなかった甲子園。ピンチでもポーカーフェースを貫いてきた背番号1は、準決勝で浴びた3被弾を、しきりに悔いた。

 打たれた3本塁打は、いずれも真っすぐだった。自らの2点適時三塁打などで1点差に詰めより、これからという7回の守備。2死走者なしから、北照の佐々木に打たれたソロアーチが響いた。「いつも苦しい時に使っていた内角を狙われて、流れがすべて北照に行ってしまった」。皮肉にも9回、最後の打者となり、左飛に倒れて唇をかんだ。

 センバツでは全5試合で6失点の快投を見せ、北海道勢半世紀ぶり準優勝の主役となった。昨秋から下馬評を覆し続けたチームの中心には、いつも大沢がいた。卒業後は東海大に進学予定で、新たなステージで頂点を目指す。「甲子園は自分を一番成長させてくれた場所だった。みんなで苦しい練習に耐えて、充実した高校生活だった」。来春、校名変更のため「東海大四」としても最後の夏が、終わった。【中島宙恵】