磐田南がエース木元啓貴(ひろたか=3年)が1失点完投し、知徳を下した。創部以来初の4強入りを果たした。初回に2死から鈴木大晴主将(3年)の適時打などで2点を先行。その後は加点できなかったが、木元が再三のピンチをしのぎ逃げ切った。81年の8強を上回った勢いで、あす28日の準決勝に臨む。

 磐田南の変則エース木元がチームを押し上げた。大きくかがみ込んでからの横手投げで、ここ1カ月で精度が上がったという変化球中心の組み立てを見せた。「新しい歴史をつくれてよかった」と4強入りを振り返った。

 リードを守ったものの、常に走者を背負う苦しい展開が続いた。「要所でアウトにして流れをもっていかせなかったのがよかった」。4回1死満塁はスクイズを投飛に、6回1死一、二塁では投ゴロと、90キロ台の変化球と120キロ台の直球の緩急を使って打ち取った。

 前日25日の試合は広川葉(3年)が15回を投げ抜いた。木元は「広川が奮闘してくれた。試合後はオレに任せろと伝えた」と明かした。仲間の戦いをベンチから励まし相手を分析した。「低めの変化球は打ってこない」「2、3番を塁に出さない」という2点を確認。言葉通り3番の村瀬拓海(3年)を無安打に封じた。

 1回戦の掛川工戦、3回戦の湖西戦で完封し4回戦は6回0封と、この日まで24イニング無失点だった。9回に1点を失い33イニング目に初失点となったが「チームでの無失点です」と謙遜した。

 準決勝は飛龍と対戦する。木元は「優勝を目指して、優勝したい」と口にした。変則エースがこの先も快投を続ける。【加納慎也】