ノーシードで勝ち上がってきた飛龍は磐田南を破り、初の決勝進出となった。

 飛龍の勢いは、この日も健在だった。初回に2点を挙げると、2回には相手のエラーも絡み、打者9人5安打の猛攻で5点。序盤に試合を決定づけると、先発の伊藤塁(3年)は8回5安打1失点の好投を見せ、反撃の隙を与えなかった。

 今大会は2回戦で第2シードの東海大静岡翔洋にコールド勝ちし、準々決勝では強豪・常葉学園橘にサヨナラ勝ち。試合を重ねるごとに自信をつけたナインはついに初の決勝進出を決めた。

 木田佳大主将(3年)は「ずっと勝てなかったので試合ができること自体が楽しい」と声を弾ませる。チームは昨秋、今春とともに地区大会で敗退。どん底経験が転機になった。5月から毎朝5時半に朝練を始め、授業後は夜10時過ぎまで猛練習した。約1カ月間休まず、厳しい練習に耐えてきた。他の運動部とともに生活を送る選手寮でも率先して掃除を行うなど、私生活も見直した。

 米倉亮監督(31)は「いろんなことを経験したことが大きい」と選手の成長ぶりに目を細める。悲願達成まであと1勝。エース伊藤は「ここまで来たら勝ちます」。東部の雄・飛龍が「静高1強」の牙城を崩すつもりだ。【神谷亮磨】