静岡が飛龍を下し、昨夏、今春に続く甲子園出場を決めた。静岡の3季連続甲子園は戦後初。1回に内山竣(3年)の先制2点本塁打が飛び出すと、2、7回にはスクイズで確実に加点した。昨夏の甲子園終了後に現チームとなってから、県、東海大会まで無敗のまま夏の甲子園出場を決めたのは、96~97年の浜松工以来となった。全国高校野球は3日に抽選会が行われ、6日に開幕する。

 優勝候補の静岡が決勝でも変わらぬ強さを見せ、甲子園切符まで駆け抜けた。

 口火を切ったのは内山だった。1回1死一塁。カウント2-1から「真っすぐ。真ん中より」を振り抜くと、打球は右翼スタンドに吸い込まれた。「手応えあった。弾道は低かったけど、いったな、と」。今大会3本目となる1発は、理想的な形で先制点をもたらした。

 静岡商との準決勝は、16安打で10点を挙げたが、先発の中で内山だけが無安打だった。三島南との準々決勝では満塁弾に2点弾と2発9打点だっただけに対照的だった。

 準決勝からの帰り道で「決勝は打ちますよ」と口にしていたが、言葉通りの結果をもたらした。「調子はずっとよかったし、絶対に打ってやろうと思っていた」。3回も1死から右中間真っ二つの二塁打を放ち、4回は1死満塁から痛烈な一ゴロで打点を稼いだ。

 昨秋は中軸3連発もあり注目を集めたが、内山はセンバツ3試合で12打数1安打1打点とふるわなかった。打順も7番まで下がった。それでも東海大会決勝で本塁打を放ち、潜在能力の高さを示してきた。

 「練習では初球のスイングを大事にしている」というように、ここぞの1球での集中を試合でも発揮した。内山は「力を発揮すればできるし、このチームはそれができた」と、その強さを自己分析した。

 甲子園は3度目となる。内山は「中軸を打たせてもらっている。1、2番が出塁するのでそれをかえしたい」とチームへの貢献を口にした。マークが厳しくなる中での対応になるが「積極的に狙いを絞っていきたい」と話した。静岡がセンバツ8強で敗れた借りを返しにいく。【加納慎也】