高知県高野連は6日、加盟34校の野球部員全員に、夏の全国高校野球選手権大会の高知大会決勝戦を球場で観戦させると発表した。学校関係者は「活性化につながる」と歓迎する一方、「強制するのはいかがか」と疑問の声も上がっている。

 決勝戦は7月に高知市の県立春野総合運動公園野球場で開催される。県高野連は部員計約1200人の入場料を無料にし、外野席で観戦させる。部員のやる気を引き出し、県全体のレベルアップにつなげたいという。

 県東部の県立高校は部員数が15人で、うち3年生が9人。高知大会が終われば3年生は引退するため、当面は6人で練習するが、来年度に新チームができるかどうかは不透明だ。部長は「郡部の高校はどこも部員不足。高いレベルのゲームを観戦することで活性化につながれば」と願う。

 高知市内の県立高校では、予選で敗退しても自主的に決勝戦を見に行く3年生は多いが、1、2年生は新チームの練習に追われて行けない。部長は「みんな観戦できて生徒たちは喜ぶはず。ここに立ちたいと感じて頑張ってほしい」と話した。

 一方、県高校教職員組合の米満敏孝書記長は「県全体で縛るのは良くない」と批判。「部活動はあくまで生徒が自主的に参加するもの。強制ではなく、学校ごとに話し合って決めるべきだ」とし、遠隔地から高知市までの交通費など生徒に負担がかかると懸念する。

 高校・大学球児向けフリーマガジン「サムライベースボール」の古内義明編集長は、夏の代表校が6年連続で明徳義塾高であることに触れ「高校間の実力差が大きく、高野連に焦りがあるのだろう」と分析。一方で「甲子園に出る代表校をみんなで応援する気持ちが高まる」と評価している。