東邦(愛知)のエースでキャプテンの「ふじっしー」こと藤嶋健人投手(3年)が4番でも最後の夏に挑む。全国制覇を目標に掲げ投手業に集中モードだが、高校通算47本塁打の打撃センスにはスカウト陣も目が離せない。

 藤嶋は現在、取り組んでいる練習はほとんどが投手メニューという。1日4時間の練習時間の中で「みんなの半分ぐらいじゃないですかね」と打撃練習に費やせるのは多くて30分。全体練習が終わって、やっても素振り程度。しかし、決して手を抜いているわけではない。「低いライナー性の強い打球を打つようにしている。チーム全体がそう。1つ1つのプレーに、1球に集中している」と限られた時間の中で最大効率を図っている。

 主将としてチームメートの成長も感じているからでもあった。今春のセンバツ1回戦関東第一(東東京)戦では9回途中1安打無失点に抑えながらも、自身が先制打を放っていた。それから3カ月。「打線はみんな頼りになる。夏は守りが大切になってくる」。仲間を信じ、エースとして最速146キロ右腕は着々と準備を進めている。

 それでも、主軸に座る藤嶋が鍵を握るのは間違いない。選抜大会後、高校通算本塁打は38本から47本に増量。中日中田宗男スカウト部長は「なかなか高校生のああいう打球を見たことがない。打者としてのポテンシャルを含めて上位候補ではないか」とうなるほど。自身3度目の甲子園へ、激戦の愛知大会でアーチをかける。【宮崎えり子】

 ◆藤嶋健人(ふじしま・けんと)1998年(平10)5月8日、愛知県豊橋市生まれ。小2から野球を始める。東邦1年夏に主戦格として甲子園に出場、初戦の日南学園(宮崎)に勝利。「バンビの再来」と騒がれた。今春センバツは2回戦・明石商(兵庫)戦で敗退。最速146キロ。176センチ、80キロ。右投げ右打ち。