市西宮(兵庫)のプロ注目右腕山本拓実投手(3年)が、大車輪の活躍だ。日米4球団のスカウトが見守る中、バットで投球で、チームを2年連続の5回戦進出に導いた。

 打っては2点リードの3回2死二塁の場面。直球を振り抜いた打球は、レフトへ公式戦初本塁打となる5号2ランに。投げては、変化球を低めに集め、これまでの自己最多を3個上回る15奪三振。プロ球団のスピードガンで自己最速タイの147キロを記録した。「変化球中心で組み立てた。75点」との厳しめの自己採点だが、大リーグ・ブレーブスの大屋スカウトは「(167センチと)恵まれた体じゃないけど、(ソフトバンク投手の)松坂大輔みたいにボールの質が良い」と高評価だ。

 仲間の支えを力に変える。3回戦は若林秀真外野手(2年)井上諒投手(3年)の継投で、登板を回避できた。この日の本塁打もネクストバッターサークルの高浜慎太郎内野手(3年)からの「来た球を打つだけやぞ!」というアドバイスあってのもの。山本は「2、3回戦では野手に助けられた。今まで助けてもらった分を恩返ししたい」と感謝の思いを打席で、マウンドで表現してみせた。

 吉田俊介監督(32)が「走塁でも守備でもミスが出ているので、気を引き締めて次に臨みたい」。山本は「甲子園に出るための通過点」。昨夏は5回戦で敗れたが、54年ぶりの夏の甲子園へ、勢いもつき始めた。【中島万季】