明石商(兵庫)の2年生エース中森俊介が自己最速151キロをマーク、終盤2回1/3をゼロ封、チームは春夏連続の甲子園ベスト4に導いた。151キロは今大会で星稜の奥川恭伸(3年)がマークした154キロに次ぐ2番目の快速記録となった。

同点の7回裏2死三塁、中森が“クローザー”としてマウンドに立った。八戸学院光星の2番島袋翔斗(3年)の2球目、内角のボールが151キロ。フルカウントから再び151キロ直球で一邪飛にねじ伏せた。

8回表に暴投で1点を勝ち越すと、同裏の無死二塁は直球勝負の2奪三振などで切り抜けた。最終回も味方のエラーで同点の二塁走者を背負ったが、最後の打者武岡龍世(3年)を149キロ直球で右飛に打ち取った。

気迫の37球。「絶対に抑えたろうと。昨年は僕が投げて負けてますから」。昨夏の甲子園1回戦、延長10回8-9で敗れた相手に、力勝負のリベンジだった。

中森は11日の花咲徳栄戦を135球、3失点完投。16日の宇部鴻城戦は温存された。この日は中6日で先発と思われたが、杉戸理斗、溝尾海陸(いずれも3年)に次ぐ3番手。狭間善徳監督(55)は「いくにしても2~3イニングのつもりでした。今の中森の体力じゃ無理です」と言い、中森投入のタイミングを「あそこはもう1点もやれなかったので」と説明した。日本一を狙うため、残り3試合を踏まえた“逆算の方程式”こそ、中森を最大限生かすクローザー構想だった。

自己最速を2キロ更新する151キロに、中森は「150キロの球を投げるのは子どもの頃からの夢だったんで」と喜んだ。17日は宿舎で星稜・奥川の14回、23奪三振完投をテレビ観戦した。「力投じゃなかった。うまいと思った。14回で160球ぐらいでしょ? 打者に合わせて、省エネじゃないけど、メリハリをつけて。僕もああいうメリハリの効いた投球をしたいです」。準決勝に勝てば、決勝で投げ合う可能性がある。「興味? とてもあります。あの球を実際に見てみたい」。投げ勝ちたいか? と問われると「将来的には…。現時点ではまだ全然(勝負にならない)」と苦笑いしたが、甲子園はきっと豪腕対決を待っている。