最後まで必死で走った。釧路工の2番茜大智右翼手(3年)は7回裏無死、右中間への打球を処理した後、両足ふくらはぎがつり、動けなくなり石田純部長(36)に背負われベンチに戻った。「このまま出られなくなったらチームに申し訳ない。何としても戻りたかった」。その前の攻撃で右中間へ三塁打を放っていた。コロナ禍で限られた中での練習。決して100%の体力ではない中、三塁まで駆けた疲労が残っていた。

8分間の治療後、再び守備に戻ると、9回2死一塁では遊撃へゴロを放ち一塁へ全力疾走。内野安打にした。自身が生還していれば逆転だったが、かなわなかった。「最後までやれた。悔いはない。でも、もう1度、本塁を踏みたかった」。夢中で駆け抜けた一生に1度の高3の夏。「苦しいこともあったけど、いい仲間にも出会えた。野球をやってきてよかった」と前を向いた。