池田はプロ注目で自己最速149キロ右腕の篠原颯斗投手(3年)が先発し、高校入学後初の9回完封で剛腕ぶりを披露した。最速148キロを計測するなど平均140キロ台中盤の速球やカーブなどをまじえて相手打線を封じる。2回1死一塁ではカーブで遊撃併殺打に片づけた。外角低め速球など制球も安定。9回に入っても145キロをマークするなど最後まで球威は衰えなかった。4球団7人のスカウトが視察する前で5安打10奪三振の快投を演じた。

篠原は「池田高校の背番号1は県内のどこの高校よりも重たい。全体的にはゼロでいけてよかった。80点くらいです」と振り返る。井上力監督(52)も「安定した投球をできた。真っすぐが走っていたし、制球力がよかった。無四球でしょう。彼の成長ですね」と評価した。

プロも素材の高さを認める。ヤクルト橿渕スカウトグループデスクが「球の強さがあるし、投球フォームも非常にバランスがいい」と評価すれば、中日野本スカウトも「伸び幅のある選手です。真っすぐの強さ、角度もある」と話した。

池田は、かつて甲子園をわかせた伝統校だ。夏は9回出場し、82年に優勝。6試合で7本塁打、121塁打、85安打と猛打を浴びせ「やまびこ打線」と称された。翌83年センバツで史上4校目の夏春連覇を果たすなど輝かしい一時代を築いた。

ナインを率いたのは蔦文也監督(故人)だ。愛称「攻めダルマ」の通り、普段は早朝6時から打撃練習を行い、速球打ちを重視していた。水野雄仁(現巨人スカウト部参与)が「阿波の金太郎」の異名をとり、83年センバツ優勝に導いた。

あれから38年たって、まさにエース再来。次戦は16日の鳴門戦。昨秋と今春の県連覇を果たした強豪が相手だが、篠原は「投げミスを見逃してくれない。人生一番の投球をしないといけない」と気合を込めた。