プレーボールのサイレンの余韻が残る甲子園に、力強い打球音がこだました。

東筑の先頭打者、平山護捕手(3年)の打球が左翼に向かって伸びる。また伸びる。1ボール1ストライクからのカットボールを捉え、左翼ポール際へ。1898年創立の名門校では、17年夏以来の2号弾。学校初の先頭打者アーチは、主将のバットから生まれた。

「(試合の)入りは強くと思っていました。塁に出ることを意識していたらカットボールが来たので、とにかく振ろうと思ったら入りました。まだまだこれから、と気が引き締まりました」。30年ぶりの甲子園1勝に向け、幸先のいいスタートを切ったはずだった。

だが、頼みのエース深町光生投手(3年)が3回、神村学園打線につかまった。1死からの3連打に3暴投が絡んで3点を失い、逆転された。キャッチャーミットの手前でバウンドし、ファウルゾーンに転がる球を、捕手の平山は懸命に追いかけた。「深町も疲れがたまっていたと思います。こういう舞台で頑張ってほしいなと思っていたのですが、自分の引っ張っていく力が足りなかった」。最速147キロを誇るエースは序盤は144キロの速球で相手打線の前に立ちはだかったが、5回4失点で降板した。

平山は「高校野球の最後は笑顔で終わろうと思っていたので、泣かないようにしていました」と試合直後はこらえた涙が、取材通路ではほおを伝った。甲子園1勝は、来春以降に持ち越し。後輩たちに託した。【堀まどか】

【甲子園】聖隷クリストファー-佐野日大 第1試合は神村学園が東筑との九州対決制す/速報