<高校野球福岡大会:福岡工大城東10-0新宮>◇8日◇1回戦◇桧原

 オレが九州NO・1左腕だ!

 福岡工大城東のプロ注目左腕・笠原大芽投手(3年)が、初戦の新宮戦で6回参考ながら1人も走者を許さない完全投球で12奪三振の快投を見せた。打っては5回、先制の適時三塁打を放ち、投打で存在感を見せつけた。

 打者のバットが面白いようにクルクルと回った。夏の初戦は、まさに福岡工大城東エース笠原の独り舞台。マウンドでは1人の走者も許さず12奪三振。ネット裏に集まったプロ6球団のスカウトにたっぷり力を見せつけた。

 「最初は足が震えるほど緊張した」という1回は3者連続三振。最速141キロの速球とキレのあるスライダーで空振りを奪って三振の山を築いた。「球数が多くならないように気をつけました」。早めの勝負で6回を完璧に抑え、外野フライさえ許さず、わずか63球で勝負を決めた。

 打っても存在感を見せつけた。5回無死一、三塁で、中堅手の右を抜ける三塁打を放ち、2点を先制。この安打で打線を勢いづけ、コールド勝ちの流れを作った。

 父はロッテドラフト1位の元プロ投手、兄は巨人の現役投手というプロ野球一家だが、ここまで甲子園に縁はなかった。1年からベンチ入りする笠原も、昨秋は九州大会準々決勝で敗れてセンバツ出場を果たせなかった。「自分もビッグスリーになりたかった」という悔しさを秘め、冬場は制球力をつけるためフォームを見直し、筋力トレーニングに励んだ。5月以降はスタミナ強化のため腹筋背筋を毎日300回。「この夏は全部1人で投げ抜きます」と頼もしい。

 朝食は母早苗さん(45)が作ってくれた赤飯を食べて力をつけた。父はフォームのアドバイスをしてくれた。そして兄が1軍で投げたビデオが励みになっている。「憧れました。自分もプロで投げたいです」。甲子園の夢をかなえ、父と兄と同じプロへの道を切り開く。【前田泰子】

 ◆笠原大芽(かさはら・たいが)1995年(平7)1月20日、福岡市生まれ。小3のとき「香椎浜サンダース」で野球を始め4年から投手。中学では「福岡ニュースターズ」に所属し、3年のとき日本代表として台湾遠征した。父栄一さんは元ダイエー投手。兄将生は巨人投手。185センチ、74キロ。左投げ右打ち。