<高校野球福島大会:福島9-2保原>◇13日◇1回戦◇県営あづま球場

 福島・木村尚貴内野手(3年)が2安打2打点の活躍で開幕試合を制した。

 超のつく福島の文武両道球児が、勝利を呼び込んだ。初回、2死二、三塁で7球目を引っ張り左前に先制適時打。5回も2死から左前打を放ち、3点目をたたき出した。木村は「緊張がいい方に出た」と笑顔。緻密な時間管理で「5秒に1回、50分600スイング」など、練習時間を短縮して集中力を高めた成果だった。

 福島リトル時代、岩手の怪物・大谷(花巻東)から本塁打を放ったことがある。水沢リトルとの練習試合で左中間への2ランは「大谷が初めて打たれたホームラン」(木村)という。その後、自信を深める一打だった。

 グラウンドを離れれば、東大理科2類合格への戦いが始まる。練習を終え自宅に戻ると夜10時には就寝。早い時は午前3時に起きて机に向かう。移動のバス内でも参考書を開く。木村は2歳の時に3種混合ワクチン接種直後、急性アレルギー反応の1つであるアナフィラキシーショックを起こした。発症率0・01%以下といわれる副作用で呼吸困難になり「死にかけた」と振り返る。それから「アレルギー症状を未然に防ぎたい」と薬剤師を目指し勉強している。

 打撃指導に物理の要素も取り入れる大河内孝志監督は「(東京6大学の)神宮で野球を」とエールを送る。バットでも鉛筆でも目指すは頂点だ。【鹿野雄太】