<高校野球千葉大会:日大習志野3-2千葉国際>◇17日◇3回戦◇千葉県野球場

 注目右腕・相内誠(3年)を擁する千葉国際は、日大習志野に惜敗。相内は初戦に続き救援で1イニング投げただけで、2試合わずか2イニング25球で最後の夏を終えた。

 「自分がもっと強ければ」。相内は何度もこの言葉を口にし、自分を責めた。この日は一塁手として先発出場。出番は2-3とリードされた8回だった。三振を1つ奪い、14球で3者凡退に片付けた。9回、「もしかしたら最後かもと思った。でも絶対またチャンスが来て、味方が打ってくれる」と信じた。だが、最後の打者が二飛に倒れ、相内の短い夏は終わった。

 多彩な変化球を武器にする器用さも、「打てるもんなら打ってみろ」というだけの気持ちの強さもある。184センチと身長もある。しかし体は細く、スタミナがない。「連投するとすぐ肩や腰を痛めるから弱い」。今大会に向けて体重を落とさないように努力し、連投対策で球数を多く投げる練習もしてきた。一方でチームは、相内がなるべく連投にならないように、3回戦までは先発させず、抑えで起用する作戦だった。

 相内は「自分が強ければ今日も先発して投げられた。監督を甲子園に連れて行きたかったんですけどそれができなくて…」と言ったところで声を詰まらせた。高瀬忠章監督(67)も「悪かった。2回しか投げさせてやれなくて。甲子園を狙えるという夢を持たせてくれてありがとう」と涙をこぼした。

 初戦に日米13球団が集まったプロのスカウト陣は、この日も6球団10人がそろった。2試合2イニング25球しか投げなかったが、評価は変わっていない。西武の前田俊郎編成部育成・アマチュア担当は「将来性十分。センスがいい。スタイルもバランスも良く、申し分ない」と話した。相内本人も「プロに行きたい」という。「つらくて何度もやめたいと思ったけど、仲間がいてくれた」。キレのある球で三振に打ち取る強烈な印象と、せつない笑顔を残して、姿を消した。【成田光季】