<全国高校野球選手権:大阪桐蔭8-2木更津総合>◇13日◇2回戦

 春夏連覇を目指す大阪桐蔭のエース藤浪晋太郎(3年)は木更津総合(千葉)戦で、自己最速タイの153キロ直球を軸に自己最多タイの14三振を奪い、6安打2失点で完投した。

 夏の甲子園で、藤浪がよみがえった。4万7000人の大観衆が見守るマウンド。「1度は経験している場所。初めて出た時と違って落ち着いて力まず試合に入れました。初回の味方の3点が大きかった」。センバツを制した4月4日の記憶が味方をしてくれた。

 西谷浩一監督(42)から「信頼を取り戻すゲーム」と送り出された。大阪大会決勝は10-1の8回、履正社に反撃され8失点で降板。雪辱の先発で、初回から自己最速タイの153キロをマーク。2回、フォークを4番高野にバックスクリーンに運ばれたが、「春も(本塁打は)打たれたし(ソロの)1点」と切り替え、後続を断った。8回はカットボールで3者連続三振。7、9回以外は速球は150キロ超えとスタミナも安定。自己最多タイ、甲子園では初の14三振を奪った。

 大阪大会決勝後、優勝の興奮が去ると、ふがいなさといらだちがこみあげた。帰寮後、3年生でそろって食事をした。その日の試合、これから臨む甲子園のことを話すうちに気持ちは落ち着いた。「ベルトより高い球では打たれても仕方ない」。いらだちは前向きな反省になった。夏の初戦、変化球でも楽にストライクを取れる進化した投球で「藤浪健在」を見せつけた。

 7月終盤、投げる際にスムーズに右肩が動いていないと感じたとき、花巻東(岩手)・大谷翔平(3年)の姿が頭に浮かんだ。「右腕を肩からしっかり動かして投げ下ろす彼のフォームは理想」。話を聞いてみたかった。

 その大谷は岩手で敗れ、愛工大名電・浜田達郎(3年)は初戦で去った。1人残ったBIG1は「春夏連覇に挑戦できるのはうちだけ」と高いモチベーションを支えにする。誰にも負けない夏にする。【堀まどか】

 ◆春夏ともに153キロ

 大阪桐蔭・藤浪がセンバツに続いて夏の大会でも球速153キロをマーク。スピードガンが普及した80年以降、甲子園の春夏両大会で150キロ以上を出したのは11年夏、12年春の大谷翔平(花巻東)に次いで6人目。両大会ともに153キロ以上は藤浪しかいない。