<高校野球IBAF18U世界選手権:日本2-0台湾>◇1日◇予選第1ラウンド◇韓国・蚕室

 世界の舞台で前回王者を力でねじ伏せた。高校日本代表の大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(3年)が13三振を奪い、2安打完封した。初戦のカナダ戦で敗れ、優勝を狙うには負けられない第2戦。春夏連覇を達成した甲子園大会の疲労が残る中、197センチの右腕は最速151キロの直球と鋭い変化球で攻めの投球。8回は3者連続三振に仕留めるなど台湾打線を圧倒した。高校日本代表は台湾を退けて大会初勝利、今日2日にはパナマと対戦する。

 早くも迎えた大一番で、大阪桐蔭・藤浪が貫禄を見せた。前回王者の強敵、台湾を2安打完封。「木バットなので、力勝負よりコーナーをつくようにしました」と言いながら、9回に150キロをマークする力投。奪三振数は公式戦自己最多にあと1個と迫る13個を積み上げた。小倉全由監督(55)も「さすが甲子園優勝投手。たいしたもんだ」と笑顔でねぎらった。

 負けられない一戦だった。日本が狙うのは予選第1ラウンドの1位通過。しかし前日、カナダとの初戦を落とした。「自分に任せてもらったので気合を入れました」。前日投げた花巻東・大谷や九州学院・大塚から、マウンドの投げにくさや球の特徴を聞き、頭にたたき込んだ。初めてとは思えないほど、マウンドを自分のものにした。

 ネット裏も熱狂した。ドラフト1位指名が決定的な阪神山本スカウトは「変化球もキレているし、球速表示以上にスピードを感じる。国際球にも対応しているし落ち着いている。春夏優勝投手の自信でしょう」とべた褒め。日本ハムのほか、大リーグ12球団のスカウトが熱視線を送った。

 藤浪自身のリベンジマッチでもあった。中3時、AA世界選手権で同じ台湾戦に先発。初回に3ランを打たれ、5回でKOされた。当時の台湾メンバーは今大会にも出場している。試合前、当時バッテリーを組んでいた龍谷大平安・高橋と「お互い3年越しのリベンジしような」と誓った。その高橋は先制打を打ち、藤浪の右腕も熱を帯びた。

 最後は海を越えた超高校対決を制した。相手4番の林子偉は、台湾の野手史上最高額の契約金205万ドル(約1億6000万円)でレッドソックスと入団合意した“メジャーの卵”。その林からも第2打席で空振り三振を奪い、9回最後は149キロで二ゴロに打ち取って引導を渡した。甲子園春夏連覇投手という“高校NO・1”の称号を得て戻ってきた藤浪。世界を相手に、ひと回りもふた回りも大きくなった姿を見せ、日本の初優勝に望みをつないだ。【鎌田良美】