<明治神宮大会:沖縄尚学9-8日本文理>◇20日◇高校の部決勝◇神宮

 沖縄尚学(九州地区)が8点差を逆転する劇的勝利で、日本文理(北信越地区)を破り、初優勝。九州地区に来春センバツの「神宮大会枠」が与えられる。

 劇的の域を超えていた。6回終了時で0-8。大敗が目の前に迫っていた。7回、山城大が3ランを放ってもまだ5点差。8回、安里健(あさと・たける)内野手(2年)の1発と敵失で差を詰め、久保柊人(しゅうと)外野手(2年)が逆転打。ヤクルト小川似の投球フォームで「琉球のライアン」の異名がついた山城大は、被弾も自身の本塁打も高校初。「野球は何があるかわかりませんが、ありえない試合です」と目を丸くした。

 5発を浴びながら試合に勝った。実戦の緊張を意識した練習が大舞台で生きた。緊迫の場面を想定して声などで重圧をかけ合い、ミスのないプレーができるように鍛えてきた。昨年は初戦サヨナラ負け。1年後は心技であきらめない強さを身につけた。「運を使い果たしていなければいいんですが」と笑った比嘉公也監督(32)。エース、指揮官としてセンバツを制し、ついに秋の神宮で宙に舞った。【堀まどか】

 ◆神宮大会枠の行方

 沖縄尚学の優勝で、九州地区は9年ぶりに「神宮大会枠」を獲得した。同地区の一般選考枠は4校で、九州大会で4強入りした沖縄尚学、美里工(沖縄)、神村学園(鹿児島)、鎮西(熊本)は出場が有力。「神宮大会枠」は8強入りした4校から選出される見込みで、準々決勝で美里工に0-1で惜敗した創成館(長崎)が、地域性からも1歩リード。佐賀1位の早稲田佐賀、日章学園(宮崎)なども候補に入ってくる。