<高校野球福島大会:聖光学院7-6日大東北>◇26日◇決勝◇開成山野球場

 聖光学院が執念のサヨナラ勝ちで、8年連続11度目の甲子園出場を決めた。4点を追う土壇場の9回裏に同点にして、延長11回裏無死一、二塁から3番柳沼健太郎内野手(3年)が左翼線へ二塁打を放ち、日大東北との死闘を7-6で制した。8年連続の地方大会制覇は、05~12年の智弁和歌山に並ぶ戦後最長となる。

 聖光学院のベンチ入り20人が泣いていた。劇的な8連覇。校歌が声にならなかった。昨夏決勝と同じ日大東北に延長サヨナラ勝ちした。「選手の執念でしょう」。斎藤智也監督(51)も目を赤くしていた。

 準決勝まで33イニング無失点の投手陣が崩れた。「半分、負けを考えていた」(斎藤監督)と9回で4点差。2死一、三塁と、あと1人まで追い込まれたが、夏の絶対王者の誇りを失っていなかった。3番柳沼の左翼への二塁打で2点差に詰め寄る。4番安田光希(3年)、5番伊三木駿(3年)が連続右越え三塁打。3連打で同点に追いついた。「仲間がつないでくれた。強い気持ちでした」と、左小指剥離骨折を押して出場した伊三木は顔を紅潮させた。試合前には、ベンチ横のホワイトボードに横山博英部長(44)が「勝負師」と記した。その言葉を主軸3人が体現した。

 決着をつけたのは11回の柳沼だった。真ん中高めの速球をサヨナラ打にした。日大東北に敗れ、県内公式戦連勝が95でストップした昨秋県大会準決勝の最後の打者。「(2点打の)9回は秋が頭をよぎった。でも引きずったらダメだと。サヨナラ打?

 うれしいです」。今大会27打数18安打の打率6割6分7厘。90年に小川茂紀(磐城)がマークした打率6割5分(20打数以上)を上回る、夏の福島最高打率を記録した。

 終盤に3、4点差を追う。大会前に紅白戦でシミュレーションしていた。7回からの攻撃を「1日10セット」(斎藤監督)行い、同点にできなければ選手はベースランニングをさせられる。4点差でも「焦りはなかった」と柳沼。その9回の3連打は初球、3球目、2球目と積極的にバットを振った。準決勝まで5試合で追う展開は1度もなかった。練習で培った逆境をはね返す打撃を、甲子園のかかった決勝で発揮した。

 明徳義塾(高知)の7年連続を抜き、智弁和歌山に並ぶ戦後最長の8年連続県制覇。夏は08年と10年、センバツは13年と3度のベスト8を経験している斎藤監督は「智弁も明徳も日本一になっている」と全国制覇をにらむ。柳沼は「1打席1打席に集中したい」と言った。頂点を目指す福島の絶対王者を、甲子園が待っている。【久野朗】

 ◆聖光学院

 1962年(昭37)に聖光学院工として創立した私立校。77年から現校名。79年から男女共学。生徒数は707人(女子150人)。野球部は62年創部。部員163人。甲子園出場は春4度、夏は8年連続11度目。OBに阪神歳内宏明、オリックス園部聡ら。所在地は福島県伊達市六角3。渡辺憲一校長。

 ◆夏の地方大会連覇

 戦前は15~28年に和歌山中が関西、紀和大会で14連覇している。戦後は05~12年の智弁和歌山の8連覇が最長で、聖光学院が並んだ。また98~04年には明徳義塾が高知大会で7連覇している(8年目の05年は優勝後に不祥事で取り消し)。◆Vへの足跡◆2回戦27-0岩瀬農3回戦10-0郡山商4回戦2-0小高工準々決勝15-0若松商準決勝4-0いわき光洋決勝7-6日大東北