昨季まで巨人でプレーしたカージナルスのマイルズ・マイコラス投手(29)が、4年ぶりに復帰したメジャーの舞台でうなぎ上りに評価を上げている。

 巨人に移籍する前のマイコラスは、パドレスに2年間在籍して救援として27試合に登板、14年にはレンジャーズに移籍し先発となったが、10試合に登板し2勝5敗、防御率6・44と鳴かず飛ばずだった。メジャー復帰を目指してFAになった昨オフも注目度は低く、カージナルスとは2年1550万ドルの格安契約。それが今では、オールスター選出の候補ともいわれるまでになっている。

 マイコラスの今季の投球で、特にメジャー関係者を驚かせているのが、四球の少なさだ。開幕から7試合までに出した四球はわずか3個。与四球率は1・6%(5月15日時点)で、両リーグを通じてトップ。来日前の14年までは制球力のいい投手という印象がなかったのだが、なぜこうなったのかと米国で大いに関心を持たれている。

 巨人入団前の14年までとメジャーに復帰した今季の投球を比較すると、まず直球系も変化球も球速がかなり上がっている。14年にレンジャーズで先発をしていたときのフォーシームの平均球速は93・7マイル(約151キロ)だったが、今季の平均は95・3マイル(約153キロ)。変化球はチェンジアップ、スライダー、カーブいずれも球速が2・7キロ以上上がっており、スライダーとカーブを使う割合が4年前と比べて大幅に増え、現在のスライダーの空振り率は42%という高い数字を示している。また今は打球は82%がゴロというメジャー屈指のグラウンドボールピッチャーになっている。

 マイコラス自身はセントルイスの地元紙に「日本に行く前の自分は、速球とカーブ主体でスライダーを少し混ぜるタイプの投手だったが、日本から帰国後は自分でも、以前より完成した投手に少しはなれたと感じている」と控えめに話しているが、セントルイスでは今やチームの救世主のような扱いだ。15年まで5年連続でプレーオフに進出するもこの2年はポストシーズンから遠ざかっていたカージナルスが、マイコラスが加入した今季は混戦のナ・リーグ中地区で上位争いに食い込んでいるためだ。

 「カージナルスが見つけた魔法の男」「マイコラスは強豪カージナルス復活のシンボル」「マイコラスを獲得したカージナルスが非常に賢い球団に見える」といった派手な見出しで取り上げられ、中には「目立たないながら、大谷と並ぶ日本から来た大成功選手」と評するメディアもある。開幕から8試合に登板し5勝0敗といまだ無傷だが、この快進撃がどこまで続くのか、注目される。