メジャーではこのところ、選手がツイッターで差別的投稿をしていたことが発覚する騒動が多発している。メジャー2年目のブルワーズのジョシュ・ハーダー投手(24)は7月のオールスター戦に登板直後、高校時代の同性愛者に対する差別的ツイートが明るみとなり、批判を浴びた。

 メジャー4年目でレギュラーに定着し球宴の最後の1人候補にもなったナショナルズのトレー・ターナー内野手(25)は6年前の大学時代の友人とのツイッターでのやりとりで差別用語を使っていることが発覚。メジャー2年目のブレーブスのショーン・ニューカム投手(25)は7月29日のドジャース戦であと1アウトでノーヒットノーラン達成という快投で注目を集めた途端に、過去の差別的ツイートが掘り起こされた。

 さらにヤンキースの先発右腕ソニー・グレイ(28)も、マイナーリーガーだった6年前に仲間うちのやりとりで差別的ツイートをしていたことが分かり、問題視されている。

 このような騒動が多発するのは、米国社会の現状が影響しているのだろう。米国では今、ヘイト犯罪や人種間対立が多発し、社会が差別問題により敏感になっている。差別的な投稿が発覚し批判の集中砲火を浴びる騒動は、芸能界や他のスポーツ界でも起こっており、それがMLBにも及んできたということだ。

 メジャーリーガーの今回の騒動はどれも、一般のツイッターユーザーが自分のタイムラインにたまたま流れてきた問題ツイートを「これは見過ごせない」とリツイートし、一瞬のうちに拡散されるというパターンだった。メジャーでは球団によって、選手がSNSを利用する上でのガイドラインを作り、指導しているところもある。だが入団前の10代の頃やマイナー時代の古い投稿を掘り起こされるのは想定外であり、対応も後手後手だった。

 こうした騒動を踏まえ、米スポーツ界では、対策を講じようという動きもすでに出ている。米国のスポーツ名門大学では、高校生アスリートをスカウトする場合、それぞれの選手のSNSを必ずチェックするようになってきており、そうしたチェックを専門に行う業者までできている。業者の1つであるバーシティ・モニター社は、SNSのチェックを行うだけでなく正しく使用するための教育も提供しており、今年は昨年に比べて需要が倍になっているそうだ。今後はMLBなどのプロスポーツ界でも、選手へのSNS教育がもっと重視されていきそうだ。

【水次祥子】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「書かなかった取材ノート」)