継投で無安打無得点を達成し、マウンドに集まるエンゼルスの選手たち(ロイター)
継投で無安打無得点を達成し、マウンドに集まるエンゼルスの選手たち(ロイター)

天使が見守っていたような、穏やかな空気だった。

エンゼルスが12日(日本時間13日)のマリナーズ戦、2投手の継投でノーヒットノーランを達成した。1日に左腕スカッグス投手を亡くして以降、初めての本拠地での試合。先制2ランを放ったトラウトに加え、始球式の捕手を務めた左腕ヒーニーも試合後の会見場に姿を現した。

急逝翌日の2日、会見で涙していた2人。あれから10日間、ともに親友への変わらぬ敬意を示してきた。トラウトは9日のオールスター戦でスカッグス投手の背番号「45」を着用。ヒーニーは6日のアストロズ戦で、同投手の得意球だったカーブを初球に投じた。

持ち球の球種ではなく、ブルペンで数球練習しただけだったが、超スローカーブは捕手のミットに無事収まった。亡き同僚への思いを形で示すため-。チームリーダーの2人は、率先して行動を起こしてきた。

その気持ちが、12日の本拠地での追悼試合で通じたかのようだった。トラウトが「彼はきっと見ていたよ。素晴らしい夜だった」と言えば、ヒーニーは「彼のことを思い出すときはいつでもポジティブで、幸せな瞬間になる。それは皆にとってすごくいいこと」としみじみ話した。並んで話していた2人の背中越しで、スカッグス投手はほほ笑んでいたかもしれない。そんな雰囲気が漂っていた。

大谷翔平投手(25)にとっても、「どの試合も負けられないですけど、その中でもやっぱり負けられない試合だった」という特別な一戦。エ軍ナインは最高のパフォーマンスを見せた。

6回、三遊間への強いゴロをメジャー1年目の三塁手タイスがダイビングキャッチ。9回2死、同じく1年目の二塁手レンヒーフォが、ゴロをはじきながらも素早い動作で最後のアウトを取った。トラウトやヒーニーを筆頭に、新人選手を含めて全員が気持ちを込めて戦い、偉業を達成した。しばらく解けなかった歓喜の輪。その光景を見て、胸が熱くなった。

スカッグス投手追悼のためマウンドに置かれたユニフォーム(ロイター)
スカッグス投手追悼のためマウンドに置かれたユニフォーム(ロイター)