エンゼルスの左腕スカッグス投手の急逝後、延期となった7月1日のレンジャーズ戦。その代替試合が8月20日、ダブルヘッダーの1試合目に行われた。

5-1でエンゼルスが快勝した試合の主役は、親友の左腕ヒーニー投手と、主砲トラウトだった。

ヒーニーは初回から三振を重ね、8回まで毎回の14三振を奪った。「とにかく長いイニングを投げよう」。前日は延長11回で7人のリリーフ投手をつぎ込んでいた。気温40度近い暑さの中で、救援陣を休ませるためにも、先発として早い回で降板する訳にはいかなかった。オースマス監督からも「我々の求めていたことをやってくれた」と称賛された8回4安打無失点の力投。今季3勝目を自己最多となる1試合14奪三振で飾った。

援護したのは主砲トラウト。1回無死一塁から左翼席へ弾丸ライナーの42号2ラン。9回には左翼フェンス直撃の三塁打を放ち、4打数2安打2打点で打線をけん引した。シーズン42本塁打は9年目で自己最多。投打の主役がキャリアハイの記録をマークし、代替試合の勝利に貢献した。

今遠征は、スカッグス投手が急逝した7月初旬の遠征以来となる、テキサス州アーリントンでの試合。ダブルヘッダーを含めた4試合が行われた戦いの前にトラウトは「もちろん、思い出すよ。僕らはいつも彼のことを思っているし、ノーヒッターの試合、彼との素晴らしい思い出や笑顔、ここに戻ってくればよみがえってくるよ」と穏やかな表情で話していた。

同投手を亡くして以降、初めて行われた本拠地エンゼルスの試合では2投手の継投によるノーヒットノーランで勝利。そして、今遠征ではヒーニーとトラウトから自己最高の記録が生まれた。

エンゼルスのクラブハウスには、スカッグス投手の背番号45のロッカーと、ユニホームが掲げられている。今回の遠征先でもヒーニーの隣に生前と同じように用意されていた。オースマス監督は「そうするのが大事なことだとみんなが思っている。残りのシーズンも続けていくよ」。主力の1人、カルフーン外野手もこう言った。「彼はずっと僕らの心の中にいる」。同投手がよく口ずさんでいた「We're nasty(俺たちはすげぇ)!」の言葉を胸に、選手たちは戦っている。【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)