右肘のトミー・ジョン手術から復活を期待されていたエンゼルス大谷翔平投手(26)が、3日(日本時間4日)に右腕の屈筋回内筋群の損傷と診断され、今シーズン残りの試合での登板はできなくなった。手術から慎重なリハビリを経て、約2年ぶりにメジャー復帰登板を果たしたが、2試合で右腕に異常が判明した。

再びリハビリを行い、来季の投手復帰を目指す。今回の故障について8日(同9日)、キャロウェー投手コーチは大谷のチームメートの経験談を例に挙げた。

「誰もが乗り越えていくこと。ディラン・バンディとも話したが、数週間は翔平と同じような感覚があったと言っていた。彼も同じ問題を抱えていた」

オリオールズから今季、エ軍に加入した右腕バンディは、12年に19歳でメジャーデビュー。翌13年に右肘のトミー・ジョン手術を行った。当時の地元紙の報道によれば、リハビリを経て14年6月から投手復帰。マイナーで9度の登板を重ねたが、8月中旬に広背筋を痛め、残るシーズンを棒に振った。翌15年もケガに悩まされた。4月と5月にマイナーリーグで8試合、22イニングを投げた後、肩の痛みを訴え、その後の実戦登板はなかった。

手術した右肘ではない箇所で故障を繰り返し、16年にメジャー復帰。2年連続で2ケタ勝利を挙げ、17年には自己最多13勝をマークした。19年まで大きなケガはなく、シーズンを通して活躍。エ軍に移籍した今季は3試合で2勝1敗、防御率2・08の成績を残しており、8月6日のマリナーズ戦では完投勝利も挙げた。

バンディの過去を踏まえれば、大谷も完全復活まで予想以上に時間を要するかもしれない。キャロウェー投手コーチは「本当に自分の状態がいいと理解できれば、彼は投げたいように投げられるようになる」と指摘した。今季の登板2試合で「腕が振れていない感じはあった」と振り返った大谷。来季以降となるが、リハビリと実戦登板を十分に重ね、再びメジャーのマウンドに戻ってもらいたい。

【MLB担当=斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)