「アメリカバージョンの大谷は僕だ」。レイズのブレット・フィリップス外野手(27)が、冗談交じりに笑いながらこう言った。敵地でのエンゼルス3連戦の試合前、クラブハウスで二刀流の大谷翔平投手(27)について熱く持論を展開。「彼がやっていることは信じられない。こっち(メジャー)に来て、投げて、打って。それが実際にどれだけ難しいことなのか。考えられない。プレーヤーとして、尊敬してやまない」とまくし立てた。

なぜ、フィリップスがアメリカ版の大谷なのか…。昨年7月2日のロイヤルズ戦で“投手デビュー”し、1球だけ、94・3マイル(約152キロ)をマークした。ただ、これはチームが大敗している試合終盤で野手が投手として起用されるケースで、それ以外は70~80キロ前後の山なりのボール。へんてこなフォームでファンを笑わせるなど、サービス精神旺盛なパフォーマンスはSNS上や動画で注目された。“投手成績”は過去2試合で3イニング、5安打5失点で防御率は15・00。「結構、いい仕事をしたと思うんだけど」と笑ったが、投打でプレーすることの難しさが分かるからこそ、大谷に敬意を表している。

かつて日本ハムの監督を務め、現在はエンゼルスのマイナー組織で育成コーチを担当するトレイ・ヒルマン氏が義父にあたるフィリップス。「僕の妻(ヒルマン氏の娘)が、5年間日本に住んでいてね。どれだけ彼女が日本が好きか、いつも話しているよ」と笑顔で明かした。自身も15年の国際大会「プレミア12」にアメリカ代表としてプレーし、来日経験がある。

昨年のオールスター戦では、MLB特任の記者として選手を取材した。ワールドシリーズも同様の仕事でリポーターを務めた。「もちろん、野球をプレーすることに情熱もある。それに野球を見ること、選手がどんなマインドで戦っているのかを知ることは、素晴らしいことだよね」と熱く語った。球宴やホームランダービーで間近で見た二刀流大谷。今回の3連戦は真剣勝負となるが、「アメリカバージョンの大谷」と豪語するフィリップスは、シーズンでの顔合わせを心待ちにしていたようだった。【MLB担当・斎藤庸裕】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「ノブ斎藤のfrom U.S.A」)