将来、プロ野球選手として育てたいのであれば、まずは遊撃手?

今季のMLBドラフトが6月3日から3日間にわたって行われています。全30球団が40巡目まで、計1200人を超える選手が指名される予定ですが、今年はこれまでにない傾向が見られています。

1日目に1巡目で指名された32選手(昨オフ、FA選手を放出したドジャース、ダイヤモンドバックスが2つの指名権を保有)中、最多のポジションはなんと遊撃手でした。本来であれば、右投手6人、左投手4人ですから投手全体としては10人なのですが、MLBドラフトでは右投手と左投手を区別しているため、遊撃手9人はドラフト史上最多と発表されました。しかも、オリオールズから全体1位指名を受けたアドリー・ラッチマン捕手(オレゴン州立大)から1巡目の全体6位まで野手が並ぶという結果も初めてのことでした。

日米を問わず、野球選手はポジションごとに、ある程度の共通点があります。投手といえば背が高く、外野手は俊足など…。遊撃手の場合、グラブさばきやフットワークに優れ、強肩で運動能力の高い選手、というところでしょうか。

米国の場合も、かつては比較的に小柄な遊撃手が多かったようですが、1990年代頃からカル・リプケンをはじめ、アレックス・ロドリゲス、デレク・ジーターら強打の大型遊撃手が活躍し始めたことで、イメージは変わっていきました。今回、指名された遊撃手も逸材ぞろいと言われていますが、パドレスから全体6位で指名されたCJ・アブラムス・ジュニア(ジョージア州ブレスト・トリニティ高)の場合、アマ球界ナンバーワンの俊足とあって、今から「外野手としてゴールドグラブ賞が取れる」と評価されています。つまり、遊撃をこなせれば、二塁、三塁だけでなく、他のどのポジションでも守れる、という信頼感と認識があるわけです。

まったくの偶然かもしれませんが、昨年のNPBドラフトでも「遊撃人気」は顕著でした。根尾(現中日)、小園(現広島)のそれぞれ4球団が競合したためですが、いずれにしても計8球団が優秀な遊撃手を必要としていたことは間違いありません。

身体能力だけでなく、センターラインを固めるうえで、野球IQも必要とされる遊撃手。今季、打撃3部門すべてにおいて好成績を残している巨人坂本が3冠王を獲得するようなことになれば、日本にも「遊撃手ブーム」が広がるかもしれません。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)