カブスのダルビッシュ有投手(33)が、12日のパドレス戦で6回無失点14奪三振の快投を演じ、年間200奪三振に到達しました。4回目となる200Kは、野茂英雄以来の記録で、来季以降も達成すれば、日本人メジャーでは史上初となります。

今季のダルビッシュは、前半戦こそ制球に苦しみましたが、後半戦は抜群の安定感を維持しています。

四球が少なく、奪三振が多い-。

そんなダルビッシュが操っている「10種類の球種」が、米メディアの間でも注目を集めています。野球劇画の世界では、かつて「7色の変化球」などの比喩で語られることがありましたが、ダルビッシュの場合、実際に10種類を投げ分けているのですから、米国のファンが驚くのも当然です。

※以下、()内は平均球速=MLB公式サイトによる

<1>フォーシーム(151キロ)

<2>ツーシーム(150キロ)

<3>ハードカッター(147キロ)

<4>カッター(138キロ)

<5>スライダー(133キロ)

<6>ハード(ナックル)カーブ(130キロ)

<7>カーブ(122キロ)

<8>スローカーブ(103キロ)

<9>スプリット(142キロ)

<10>チェンジアップ(135キロ)

もちろん、投げる割合は試合によってそれぞれ違います。ただ、スピードも軌道も異なるこれらすべての球種のサインを決め、まさに変幻自在に投げ分けているのですから、打者とすれば狙いを定めることは極めて困難になるわけです。と同時に、ダルビッシュが秀逸なのは、アッという間に新しい球種をものにしてしまう点にあります。

では、ダルビッシュはいかにして新球をマスターするのでしょうか。

「まず最初に、投げたい変化球の球速と変化を思い浮かべるじゃないですか。それに、なんとなく必要な回転の角度とかをイメージして、速度と変化と回転の角度を自分の中で出して、それに一番合う握りを自分の中で探して、それで握りからちゃんとしたリリースを最初から考えれば基本的にすぐ投げられる」。

ダルビッシュ自身は、いとも簡単そうに言っていましたが、無論、だれもができる芸当ではありません。元来の器用さに加え、人一倍の研究熱心さを兼ね備えているからこそ、10種類もの球を操れるようになったのでしょう。

ご存じの方も多いと思いますが、ダルビッシュの場合、左手でも130キロ前後の球を投げられます。

もし、左でも10種類の球種を投げられるようになったら…。

それこそ、劇画の世界、どころではありません。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)