メジャーの公式戦開幕が決まり、本拠地での“サマーキャンプ”もスタートしました。

キャンプインに先立ち、集合日までに全30球団の選手、スタッフ計3185人が新型コロナウイルスの検査を受けた結果、感染者は38人(選手31人、スタッフ7人)で感染率は1・2%と発表されました。その時点で、MLBと選手会はプライバシー保護の観点から、氏名や所属球団は明かさないことを表明しました。

一方で、自らの意思で実名を明かす選手もいます。ブレーブスは、通算227本塁打の主砲フレディ・フリーマン一塁手、救援左腕ウィル・スミス投手ら4人が陽性反応を示したことを発表しました。ヤンキースのDJ・ラメーヒュー内野手と救援右腕ルイス・セサ投手も、実名で報じられることに同意したため、ブーン監督が記者会見で公表しました。

ロイヤルズのサルバドール・ペレス捕手は陽性反応を示したものの、無症状でもあり、母国ベネズエラのユニホーム姿でリモート会見に応じ、元気な姿を披露しました。ムーアGMによると、会見はペレス自身の希望でもあり、画面を通してファンに呼びかける姿が印象的でした。

「皆さんには、マスクを着用して、と言いたい。だれが(ウイルスを)持っているか分からないからマスクをしよう」

キャンプ前には、カブスのトミー・ホットビー投手コーチが、中断期間中に感染したことをラジオで明かし、会見で闘病生活を生々しく語ったことが話題を集めました。38歳の健康体で、感染予防に留意していたにもかかわらず、重篤な状態になったウイルスの脅威を語る言葉は、説得力にあふれていました。

「僕の話とこれまでの道のりを通して、これがいかにシビアなものか、だれかに気付いてもらう手助けになるのであれば、そして1つの命を救うのであれば、私の話を聞いてほしい」。

依然として、全米中では連日1日あたり4万人を超す感染者が増え続け、死者数は計13万人に近づくなど、危機的状況が続いています。それでも、一部地域ではマスク着用に反対する抗議運動が起こったり、深夜までにぎわっているバーもあると報じられています。

ペレスやホットビー投手コーチをはじめ、実名を明かす選手たちの声や呼びかけが、少しでも多くの人に届き、コロナ禍終息へ近づくことを祈るばかりです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)