今シーズンも、メジャーでは「ジュニア世代」の活躍が目立っています。

パドレスのダルビッシュ有投手(34)が、ドジャースのクレイトン・カーショー投手(33)に投げ勝った4月23日の試合では、フェルナンド・タティスJr内野手(22)が2本の本塁打を放ち、ダルビッシュを援護しました。このタティスJrは、父シニアも強打で知られた元メジャーリーガー。しかも、ちょうど22年前の4月23日は、父シニア(当時カージナルス)が同じドジャースタジアムで史上初の「1イニング2本の満塁弾」「1イニング8打点」を記録した日でした。

その父と同じ日に同じ球場で2アーチを放ったことに、試合後のJrは感激していました。「当時、僕は生後4カ月だから覚えてはいないよ。ただ、その日のことは知っていたし、僕の家族にとって記念の日になったよ」。19年にデビューしたにもかかわらず、今キャンプ前には14年総額3億4000万ドル(約374億円)で契約を延長したスーパースターにとっても、特別な日となりました。

ブルージェイズには、ともに殿堂入りした父を持つウラジミール・ゲレロJr、キャバン・ビジオ、父が同球団で特別アシスタントを務めるボ・ビシェットと3人のジュニアが、主軸として活躍しています。

彼ら「ジュニア世代」は、父の優秀なDNAを引き継いでいるだけでなく、幼い頃からクラブハウス内を走り回り、球場を庭のようにして育つのですから、野球が上達するのも当然と言えば当然です。過去には、ともに「300本塁打・300盗塁」を記録したボビー&バリーのボンズ親子をはじめ、ともに通算2000本安打を達成したフェリペ&モーゼスのアルー親子、同じチームで一緒にプレーしたケン・グリフィー親子ら、メジャーで親子選手は珍しくありません。

ヤンキースのアーロン・ブーン監督とレッズのデービッド・ベル監督にいたっては、親子3代のメジャーリーガーで、2人とも親子で監督を務めるなど、球界きっての野球一家として知られています。ブーン監督が「少年時代から常に目の前に野球があったし、生活のすべてが野球だった」と話していたように、彼らにとって野球選手以外の選択はなかったようです。

日本球界に2世選手が少ないのは、プロアマ協定で親子間でも指導が禁止されているだけでなく、環境面の違いが大きいとも言われています。

過去2シーズンは、コロナ禍の影響で、選手の子供たちをグラウンド内で見かけることはありませんが、メジャーで「ジュニア世代」の活躍を見るたびに、日本球界の在り方を考えてしまいます。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「四竈衛のメジャー徒然日記」)