最終戦で46号を放つも、エンゼルス大谷翔平投手(27)が2本差で惜しくも本塁打王を逃しました。一方で、ア・リーグトップの8三塁打を放ち、「三塁打王」に輝きました。もし本塁打王も手中に収めていたら、43年ぶり史上9人目の大記録でした。

大リーグでは過去、同一年に三塁打、本塁打ともリーグトップだった選手は8人しかいません。半数は19世紀や20世紀初頭の「飛ばないボールの時代」にプレーした選手たちで、以下はその間の達成者4人です。

◆1880年ハリー・ストービー(ウースター) 14三塁打、6本塁打

◆1887年ティップ・オニール(セントルイス) 19三塁打、14本塁打

◆1891年ハリー・ストービー(ボストン)が2度目 20三塁打、16本塁打

◆1902年トミー・リーチ(ピッツバーグ) 22三塁打、6本塁打

◆1904年ハリー・ラムリー(ブルックリン) 18三塁打、9本塁打

当時は外野が広いために三塁打が多く、本塁打に限りなく近い三塁打がファンを魅了していました。

しかし、1920年代以降、本塁打王ベーブ・ルースの出現により、「飛ぶボールの時代」になってからの100年では、達成者は以下の4人だけです。

◆1928年ジム・ボトムリー(カージナルス) 20三塁打、31本塁打

◆1955年ウイリー・メイズ(ジャイアンツ) 13三塁打、51本塁打

◆1955年ミッキー・マントル(ヤンキース) 11三塁打、37本塁打

◆1978年ジム・ライス(レッドソックス) 15三塁打、46本塁打

なぜなら球場が狭くなり、草創期なら三塁打になっていたはずの打球が、二塁打か本塁打になってしまうからです。太平洋戦争後に限れば、史上最高の万能選手と称されるメイズ、史上最強のスイッチヒッターと呼ばれるマントル、そして驚異の年間406塁打で大きな話題となったライスの3人だけ。いずれも球史に残る殿堂入りスターばかりです。

ルース以来の本格的な投打二刀流を演じながら、さらに三塁打王と本塁打王の「ダブルキング」も可能だったとは、大谷は恐ろしいほどのパワーとスピードの持ち主です。来季は本塁打、打点、さらには盗塁、投手で規定投球回到達なら奪三振、防御率など、投打でのダブルタイトル獲得にも夢が膨らみます。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)