地元の盛り上がりは、一面の雪にも負けない熱さがありました。1月中旬、エンゼルス大谷翔平投手(27)の故郷・岩手県奥州市を探訪しました。

水沢江刺駅の改札口に掲げられているエンゼルス大谷への激励横断幕(撮影・福島良一)
水沢江刺駅の改札口に掲げられているエンゼルス大谷への激励横断幕(撮影・福島良一)

きっかけは昨年8月にさかのぼります。ニューヨークのヤンキースタジアムで行われたビジター戦前グラウンドで、エンゼルスのペリー・ミナシアンGMと雑談する機会がありました。彼はレンジャーズのバットボーイ時代に、マリナーズの最強左腕ランディ・ジョンソンの剛速球を間近で見て、大リーガーになる夢をあきらめ、GMを目指そうと決意したそうです。ちょうど東京オリンピック(五輪)終了直後だったので、金メダルを獲得した侍ジャパン、「ヤマモト(オリックス山本由伸)はどうか?」などの質問を受けるなど、自軍の最重要課題である投手陣の話題で盛り上がりました。

彼はブレーブスのフロント時代から何度も日本各地を訪れており、「特に大阪が大好きだ。食べ物がおいしい」などと懐かしがりながら、「ぜひ大谷の故郷にも行ってみたい」との願望も口にしていました。私も投打二刀流を育てた原点に興味が湧き、冬の東北路を旅しながら、「平泉ゆかりの地」として有名な大谷の生まれ故郷、旧水沢市(現奥州市)を再訪しました。

2017年オフ、日本ハムからポスティングシステムでエンゼルスへ移籍した直後、JR東北本線水沢駅からタクシーで彼の母校、姉体小を見に行ったことがあります。あれから4年ほどたち、大谷フィーバーで町の様子はどう変わったのか、興味がありました。

水沢江刺駅の改札口に掲げられているエンゼルス大谷への激励横断幕(撮影・福島良一)
水沢江刺駅の改札口に掲げられているエンゼルス大谷への激励横断幕(撮影・福島良一)

午前6時4分、東京駅を東北新幹線やまびこ51号の始発で出発し、午前8時45分に奥州市の玄関口である「水沢江刺駅」に到着。高架駅のホームから1階の改札口に向かうと、まず目に飛び込んできたのが、エンゼルスの赤いチームカラーで「投打猛進 がんばれ大谷翔平選手」と書かれた垂れ幕です。さらに、「祝奥州市出身 大谷翔平選手MVP受賞」という横断幕が人々を迎えてくれました。

「南岩手交流プラザ」にあるエンゼルス大谷の展示コーナー(撮影・福島良一)
「南岩手交流プラザ」にあるエンゼルス大谷の展示コーナー(撮影・福島良一)

改札口を出ると、正面に「南岩手交流プラザ」がありました。奥州市の情報発信施設で地元の物産品や観光、歴史などを展示紹介。大谷の展示コーナーも設置されていました。午前9時の開館と同時に照明が付き、パイプシャッターが開きました。花巻東高校時代のサイン色紙、日本ハム時代のユニホームやサインボール、投打の二刀流で「最速165キロ!!」、「三試合連続ホームラン!!」と書かれた写真…など、ゆかりの品々が飾られていました。

「南岩手交流プラザ」にあるエンゼルス大谷の活躍を報じる新聞展示コーナー(撮影・福島良一)
「南岩手交流プラザ」にあるエンゼルス大谷の活躍を報じる新聞展示コーナー(撮影・福島良一)

また、通路を挟んで反対側にはア・リーグMVP受賞を報じる東北各地方新聞の記事、市内にあるデサントアパレル水沢工場で生産された大谷モデルの水沢ダウンジャケットなどが展示されていました。

もう、水沢江刺駅構内を見るだけで大谷が奥州市の誇りであり、市をあげて熱狂する様子が伝わってきました。(つづく)【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

「南岩手交流プラザ」にあるエンゼルス大谷の展示コーナー。奥州市内にあるデサントアパレル水沢工場で生産された大谷モデルのダウンジャケットなどを展示(撮影・福島良一)
「南岩手交流プラザ」にあるエンゼルス大谷の展示コーナー。奥州市内にあるデサントアパレル水沢工場で生産された大谷モデルのダウンジャケットなどを展示(撮影・福島良一)