新時代の幕開けを告げる最強の1、2番コンビが誕生です。「ジャッキー・ロビンソン・デー」の15日(日本時間16日)、エンゼルス大谷翔平投手(27)に待望の今季1号が飛び出しました。1番打者でプレーボール初球をたたいての先頭弾。さらに5回にも、自身7度目のマルチ弾となる2号2ランで逆転劇を呼び込みました。翌16日も2戦連発の3号と一気に全開モード。2番マイク・トラウト外野手(30)との超重量級ツートップが、本格稼働です。
大リーグ史上最強のコンビといえば、1920~30年代のヤンキース黄金期に、3、4番を組んだベーブ・ルースとルー・ゲーリッグが有名です。特に「マーダラーズロー(殺人打線)」と呼ばれた27年には、ルースが前人未到の60本塁打、ゲーリッグが47本塁打を放ちました。
その後、60年代に同じくヤンキースから、ミッキー・マントルとロジャー・マリスの「MM砲」が誕生。61年にマリスがルースの記録を破る61発、マントルが54発、2人合わせて115本塁打という記録を作りました。
また、60年代後半のジャイアンツでは、通算660本塁打のウイリー・メイズと同521本塁打のウイリー・マッコビーが打順を1つずつ上げて、しばしば2、3番を組みました。しかし、昔なら不動の3、4番コンビにふさわしい強打者2人が、1、2番を打った例は記憶にありません。
強いて挙げるなら、2018年にヤンキースがオープン戦で1番アーロン・ジャッジ、2番ジャンカルロ。スタントンという打順を組んだことがあります。ジャッジは前年に当時の大リーグ新人最多記録52本塁打、スタントンも前年にマーリンズで両リーグトップの59本塁打を放っており、しかも2人とも身長2メートルクラスで大きな話題となりました。
しかし、公式戦で大砲コンビの1、2番は実現しませんでした。もちろん、1、2番に強打者を据えるのはチーム事情もあります。エンゼルスの場合は、1番打者にふさわしい「俊足巧打」のタイプが見当たらない状況です。候補はデビッド・フレッチャー内野手(27)ですが、昨季1番では出塁率3割5厘、大事な初回の出塁率でも3割6厘と物足りないものでした。さらに3番トラウト、4番アンソニー・レンドン内野手(31)の長期離脱もあり、初回の得点率はア・リーグ10位タイの約29%と低迷しました。
得点力アップのために、1番大谷、2番トラウトと並ぶ超攻撃型打順に踏み切った理由といえるでしょう。まだデータ分析などが普及してない時代に、ヤンキースで監督、GMなどを歴任したジーン・マイケルは「最高のバッターが最も多く打席に立つ。それが最高のラインアップの構造であり、最もシンプルな形だ」というセオリーを唱えていました。この打順が軌道に乗れば、チームの上位進出はもとより、球界全体に波及するかもしれません。
MLBネットワークが1日発表した「現在のトップ100」ランキングでは、1位に大谷、2位にトラウトが選出されました。現役はもちろん、「史上最強の1、2番コンビ」にもなりえる「OT砲」が、どんな化学反応を起こすでしょうか。立ち上がりの先発投手を勇気づける、初回から“ワンツーパンチ”のアベック弾が飛び出しそうです。(大リーグ研究家・福島良一)




