エンゼルスが7日(日本時間8日)、ジョー・マドン監督(68)を解任し、フィル・ネビン三塁コーチ(51)を監督代行に任命しました。プレーオフ進出へ新体制の下で再スタートを切りました。

そして、6月14、15日には毎年恒例ロサンゼルスの同都市対決、ドジャースとの通称「フリーウエーシリーズ」が行われます。その舞台は、7月19日にオールスターゲームも開催されるドジャースタジアム。エンゼルスは球界を代表する2大スターのマイク・トラウト外野手(30)と大谷翔平投手(27)、ドジャースはムーキー・ベッツ外野手(29)ら自慢の「MVPカルテット」を擁し、まさに「オールスター前哨戦」ともいうべき夢の対決になりそうです。

昔は毎年オープン戦の最後に「フリーウエー(高速道)~」と銘打って、両軍が各本拠地球場でシーズンへ向けて最後の調整を行いました。その後、1997年から交流戦が始まると、従来のオープン戦だけでなく公式戦としても毎年カードが組まれました。ニューヨークの「サブウエー(地下鉄)シリーズ」、ヤンキース対メッツと並ぶ超人気カードとして、これまで数々の名勝負や名場面も繰り広げられました。

日本のファンにもなじみの歴史的シーンといえば、97年6月18日にドジャース野茂英雄投手が先発し7回途中まで3自責点。一方、エンゼルスは6回から長谷川滋利投手がリリーフ登板。大リーグ史上初めて日本人同士の投げ合いが実現しました。

さらに日本人選手の話題では、2010年にエンゼルス松井秀喜が5回2死満塁から走者一掃の二塁打。巨人長嶋茂雄終身名誉監督の記録を上回る日米通算1523打点目を挙げました。2018年にはメジャー1年目の大谷が日本人初のホームラン。大谷は翌2019年6月11日にも、ドジャース前田健太投手(34=現ツインズ)と対戦し初回に右翼席へ突き刺す先制本塁打を放ちました。

2009年には、ウィーバー兄弟による先発投手対決が実現。ドジャースの兄ジェフとエンゼルスの弟ジェレドが投げ合い、兄ジェフが5回2失点で勝利投手となりました。また、新興エンゼルスには名門ドジャース出身者が多く、00年にエンゼルス監督に就任したマイク・ソーシア監督が古巣と初対決。12-5で初陣を飾りました。

番外編としては、1999年にドジャースの韓国人右腕、朴賛浩投手がエンゼルスのティム・ベルチャー投手に蹴りを入れました。米スポーツブログネットワーク「SBネーション」は「最も記憶に残るフリーウエーシリーズの試合」に選定していました。

過去12連敗以上のチームでポストシーズン(PS)に進出できた例はありませんが、大リーグ史上初の奇跡を起こす転機になるでしょうか。9年連続PS進出中のライバル相手に奮起し、痛快な下克上劇につなげてくれることを期待したいです。(大リーグ研究家・福島良一)

エンゼルス対レッドソックス 5回裏エンゼルス1死一塁、中越えに逆転2点本塁打を放つ大谷(撮影・前田充)
エンゼルス対レッドソックス 5回裏エンゼルス1死一塁、中越えに逆転2点本塁打を放つ大谷(撮影・前田充)