ソフトバンクから海外FA権を行使した千賀滉大投手(29)が、メッツと5年総額7500万ドル(約105億円)で契約合意しました。最近のメッツといえば、オーナのスティーブ・コーエン氏が注目を集めています。

ヘッジファンドマネジャーで大富豪の同氏は2020年オフにメッツを買収。米プロスポーツ史上最高額の24億ドル(当時のレートで約2500億円)で話題になりました。地元ニューヨーク出身で幼少期から大のメッツファン。大リーグ30球団のオーナーではトップの資産159億ドル(約2兆2260億円)を誇り、その豊富な資金力で次々と大型補強を敢行しました。

しかし、昨年は開幕から首位を快走しながら、夏場以降に失速して3位。今年もずっと1位をキープしながら、最終盤にブレーブスとの天王山に敗れて同率で並ばれ、直接対決で負け越していたため2位に甘んじました。プレーオフもワイルドカードシリーズで、パドレス相手にダルビッシュ有投手(36)らに抑えられ、敗退しました。

そこで、今オフもアストロズからサイ・ヤング賞とカムバック賞に輝いたFAのジャスティン・バーランダー投手(39)と2年約8666万ドル(約121億円)、カージナルスからFAの左腕ホセ・キンタナ投手(33)と2年2600万ドル(約36億4000万円)で契約するなど、先発投手陣を中心に大型補強を敢行しています。

さらに20日(日本時間21日)には、ジャイアンツと契約合意していたカルロス・コレア内野手(28=ツインズFA)と12年3億1500万ドル(約441億円)で逆転獲得にこぎつけたと報じられました。正式契約になれば、FA補強費だけで千賀も含め約7億7600万ドル(約1086億円)も投じることになります。来季開幕時の総年俸はメジャー史上初めて3億ドル(約420億円)を突破。それどころか、3億6000万ドル(約500億円)を超えそうな勢いです。

先発は2大エースのバーランダーとマックス・シャーザー(38)の両右腕を筆頭に強力な5人。抑えにはナ・リーグ最優秀救援投手に輝いた右腕エドウィン・ディアス(28)。一方、打撃陣も19年に本塁打王、今年は打点王に輝いたピート・アロンソ内野手(27)、オールスター遊撃手のフランシスコ・リンドア(28)、今年初の首位打者に輝いたジェフ・マクニール内野手(30)らスターぞろい。優勝を狙うに十分な戦力が整いました。

また、メッツは昔から日本人選手が多いチームでもあります。過去に大リーグ30球団中最も多い13人の日本選手がメジャーの舞台でプレーしました。そのうち、投手が10人もいました。しかし、1999年吉井理人、2010年高橋尚成と10勝投手は2人だけ。地元ニューヨークには熱狂的なファンが多く、味方の選手にも容赦なくブーイングを浴びせます。日本選手に成功例が少なく、試練のチームともいえます。

今オフはメッツだけでなく、同じナ・リーグ東地区のライバル球団で今年リーグ優勝したフィリーズ、5年連続地区優勝のブレーブスも積極補強しました。今年以上にハイレベルなペナントレースが予想されます。また、メッツにはバーランダー、シャーザー、千賀ら5人だけでなく、若手左腕デビッド・ピーターソン(27)、右腕タイラー・メギル(27)を含めると先発候補が7人。日本で実績十分の千賀も決して油断は出来ません。

20年オフにコーエン氏が球団を買収したとき、「3~5年以内に世界一になる」とコメント。来年こそ地区優勝どころか、世界一を目指すチームとして、これほどやりがいがあるチームはありません。また、3年目のシーズン終了後にはオプトアウト(契約破棄)の権利があり、最初の3年間で成功を収めれば、より高い条件で契約を結び直すことが可能です。サイ・ヤング賞を3度ずつ獲得しているバーランダー、シャーザーのダブルエースに割り込むぐらいの強い気持ちで、肥えた目のニューヨーカーを沸かせてほしいです。(大リーグ研究家・福島良一)(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)