開幕してエンゼルス最大のサプライズといえば、新人ローガン・オハピー捕手(23)です。開幕戦から、エース大谷翔平投手(28)と息の合ったコンビを見せています。

左臀部(でんぶ)の張りで負傷者リスト入りしたマット・スタッシ捕手(32)に代わってロースター入り。球団史上最年少で開幕戦の先発マスクをかぶり、さらに開幕から3試合連続で先制点をたたき出すなど攻守に大活躍。一躍、日本のファンにも注目される存在となりました。

はたして、オハピーとはどんな選手でしょうか?

2000年、米東海岸のニューヨーク州のロングアイランド生まれ。幼い頃から野球が大好きで、母アンジェラいわく「すでに2歳のときにバットと一緒に寝ていた」そうです。また、自宅の裏庭で父とTボールを楽しんでいたようです。

「O‘」という名前からアイルランド系移民と思われます。両親から人と仲良くし、いつも人に優しくし、人とうまく接するように育てられました。その影響からか、少年時代から投手とバッテリーを組むのが好きだったようで、10、11歳の頃から捕手が定位置となりました。

地元の高校卒業後は、父や叔父と同じイーストカロライナ大に進学するのが夢でした。しかし、18年フィリーズからドラフト23巡目(全体677位)で指名されると、「自分の夢はプロ野球選手になることだ」と悟り、プロ入りを決意しました。

18年からマイナーで経験を積み、19年オフにオーストラリア・リーグのアデレード・ジャイアンツでプレー。チームには日本選手の小野大夏投手(ホンダ)も所属していました。オハピーは「初めての単身生活で、幸運にもいい人たちとたくさん出会い、多くの教訓を得た」と言い、人生のターニングポイントになったようです。

ただ、フィリーズにはJ・T・リアルミュート捕手(32)という高い壁がいました。昨年自身2度目のゴールドグラブ賞に輝き、WBC米国代表として日本との決勝でも先発マスクをかぶるなど、メジャーを代表する捕手です。オハピーは「彼は球界最高のキャッチャー。彼の知恵を出来るだけ借りようと努力した」と振り返っています。しかし、フィリーズはリアルミュートと長期契約しており、彼が必死に努力しても捕手のポジションはありませんでした。

そして昨年8月、転機が訪れました。ブランドン・マーシュ外野手(25)とのトレードでエンゼルス移籍。9月のシーズン終盤にデビューし、5試合マスクをかぶりました。

それでも、今季はマイナースタートかと思いきや、スタッシの故障からチャンスをつかみました。しかも、開幕投手を務めるのは投打二刀流のスーパースター、大谷翔平。フィル・ネビン監督(52)は「オオタニのような投手が『捕球能力が高い』と言っていた」と明かし、「オハピーはオフの間に必死に練習に取り組み、このポジションを勝ち取った」と大抜てきに至りました。

それでも、本人はもちろん、家族もビックリです。母アンジェラは「開幕戦で大谷のボールを受けるなんて夢のまた夢」と大感激。また、21年8月に非ホジキンリンパ腫を患い、医師から余命1年未満と診断された父マイケルでしたが、治療に成功。家族にとって、最高にうれしい春を迎えました。

エンゼルスは若手有望株の台頭を待ち望んでいたところであり、今のオハピーはスタッシから正捕手の座を奪うぐらいの勢いです。コンビはまだ2試合ですが、12回で1失点18奪三振、防御率0・75と大谷との相性は抜群。トラウトとの最強コンビ「トラウタニ」とともに、「オオハピー」な1年にもなれば、今年こそプレーオフ進出は期待していいでしょう。(大リーグ研究家・福島良一)