大リーグは8月1日(日本時間同2日)にトレード期限が終了。最も戦力補強に成功したチームの1つに、エンゼルス大谷翔平投手(29)の同地区ライバル球団でもあるレンジャーズが挙げられます。7月下旬に渡米した際、テキサス州アーリントンのグローブライフフィールドにも足を運び、現在ア・リーグ西地区首位と好調レンジャーズの取材もしてきました。

開幕からア・リーグ西地区首位を走るレンジャーズの本拠地グローブライフフィールド
開幕からア・リーグ西地区首位を走るレンジャーズの本拠地グローブライフフィールド
レンジャーズの本拠地グローブライフフィールドの正面に建つノーラン・ライアンの銅像と記念撮影する福島氏
レンジャーズの本拠地グローブライフフィールドの正面に建つノーラン・ライアンの銅像と記念撮影する福島氏

試合前、レンジャーズの練習が始まる前に一塁側ダッグアウト前へ行くと、球団関係者や報道陣らの中に頭1つぐらい抜け出た、ひときわ大きな男がいました。身長208センチのクリス・ヤングGM(44)です。名門プリンストン大で野球とバスケットボールの二刀流選手として鳴らし、大リーグでは投手として通算79勝67敗。引退から3年後の2020年12月、レンジャーズGMに就任しました。

開幕からア・リーグ西地区首位を走るレンジャーズの編成責任者を務めるクリス・ヤングGM(左)と記念撮影
開幕からア・リーグ西地区首位を走るレンジャーズの編成責任者を務めるクリス・ヤングGM(左)と記念撮影

あいさつ代わりに「2007年…」と言っただけで、「ああ、オールスターゲームでイチローにランニングホームランを打たれた」という答えが返ってきました。プレーオフ進出を狙うチームのGMにとって、トレード期限前は最も忙しい時期。「この時期は忙しいでしょう」とたずねると、「いや、1年じゅう忙しいよ」という返事。トレード期限の補強ポイントについて聞くと、「先発投手とリリーフ投手」と即答でした。

その約10日後です。7月29日にメッツから先発右腕マックス・シャーザー(39)獲得という大ニュースが飛び込んできました。19年ナショナルズ時代に世界一に輝くなど優勝請負人として知られ、サイ・ヤング賞に3度輝き、昨年メジャー通算200勝を挙げた大投手です。

翌30日には、カージナルスから先発左腕ジョーダン・モンゴメリー(30)と救援右腕クリス・ストラットン(32)の両投手も獲得。さらなる投手補強を進めました。これには「さすがヤングGM」と膝を打ちました。

大リーグ監督歴26年で通算2000勝以上を誇り、今季からレンジャーズの指揮を執るブルース・ボウチー監督(68)ともしばし歓談。エンゼルス大谷の話に花が咲きました。そこで話題になったのは、6月12~15日にレ軍本拠地で行われた4連戦で、4発を量産した大谷のホームランでした。特に14日の試合で、9回に左中間2階席へ運んだ特大アーチに強い衝撃を受けたようです。

開幕からア・リーグ西地区首位を走るレンジャーズを指揮するボウチー監督
開幕からア・リーグ西地区首位を走るレンジャーズを指揮するボウチー監督

その一撃は、打球速度約187キロ。スタットキャストが導入された15年以降、左打者の逆方向弾としては計測史上最速でした。ボウチー監督も一塁側ダッグアウトから左中間スタンドを見つめながら、「あんなホームランは見たことがない」と驚きの表情でした。

そこで、1つ質問をぶつけました。昨年ア・リーグ新記録の62本塁打を放ったアーロン・ジャッジ外野手(31=ヤンキース)との比較で、「どっちがパワーある?」と。ボウチー監督は「難しい質問だ」としばらく考え込みながら、「オオタニだ」と一言。「現在、メジャーリーグで最高のパワーヒッターだ」と太鼓判を押しました。ジャッジとも21年に直接会って話したことがあり、彼は「たとえオオタニであろうと、誰にもパワーでは負けない」と豪語していただけに、ボウチー監督の言葉には驚きました。

大観衆で埋まるレンジャーズの本拠地グローブライフフィールド
大観衆で埋まるレンジャーズの本拠地グローブライフフィールド

さらに、「大谷が3冠王を取る可能性は?」と聞くと、「おそらく、マイク・トラウト次第だろう」という答えでした。やはり、「大谷の後ろにトラウトがいないと勝負させてもらえない」という見解でした。8月は14~16日にレンジャーズの本拠地でエンゼルス3連戦があります。ボウチー監督の話ぶりだと当然、大谷を申告敬遠で歩かせるような雰囲気でした。

もはや、大谷はそれぐらい伝説的なプレーヤーの域に達しています。優勝を目指すチームの監督にとっては、たとえランナーがいなくても、勝負を避けたいぐらいに恐ろしいバッターなのでしょう。1日も早いトラウト復帰が、待ち望まれます。(大リーグ研究家・福島良一)(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)