2度目の満票MVPなるか?

米大リーグは今週いよいよ表彰ウイークを迎え、全米野球記者協会(BBWAA)選出による各賞が次々と発表されます。大トリが16日(日本時間17日)のア、ナ両リーグMVP。エンゼルス大谷翔平投手(29)が2年ぶりのア・リーグMVPに輝き、しかも2度目の満票で選出されるか大いに注目が集まります。

今シーズンは前半戦が終わった時点で早くも「MVP間違いなし!」の声も上がるほど圧倒的な活躍ぶりでした。すでに自身2度目のMVPは確実視されており、最大の焦点は30人の記者全員が大谷に1位票を入れるかに集まっています。

2021年、大谷は投打の二刀流で野球の常識を変え、初のア・リーグMVPを受賞しました。日本人で01年イチロー(マリナーズ)以来20年ぶり2人目、二刀流プレーヤーとして初の受賞。また現行の記者投票制となった1931年以降では19人目の満票選出となり、大きな話題となりました。

満票MVPは、21世紀に入ってからは02年バリー・ボンズ(ジャイアンツ)、09年アルバート・プホルス(カージナルス)、14年マイク・トラウト(エンゼルス)、15年ブライス・ハーパー(ナショナルズ)、そして21年大谷と5人しかいません。

また、19人中15人がチームを優勝、10人がリーグ優勝、7人が世界一に導き、残る4人中3人もチームは2位ながら優勝争いに貢献しています。つまり21年大谷だけがチームは優勝戦線から遠ざかり4位、勝率5割未満でした。

しかも1度のみならず、今年もエンゼルスは夏場までプレーオフ争いをしながら失速し、最後は4位で終了。勝率も5割を大きく下回る4割5分1厘でした。にもかかわらず大谷はMVPが確実視され、自身2度目の満票か、というとんでもなく高い評価。それぐらい大谷は、チームの成績を度外視しても、投打の二刀流として超越したパフォーマンスが評価される唯一無二の存在なのです。

もし今シーズンも満票で選出されたら、メジャー史上初の満票MVPで2度選出された選手となります。これは史上最多の7度もMVPに輝いたボンズ、それに次ぐ3度受賞したアレックス・ロドリゲス(ヤンキース)、プホルス、トラウトといった10人の偉大なプレーヤーたちが誰も成し遂げられなかった偉業です。

今回、大谷とともに最終候補にノミネートされたのは、レンジャーズのマーカス・セミエン二塁手、コーリー・シーガー遊撃手です。2人はチームの1、2番打者、また二遊間コンビとして7年ぶりのプレーオフ進出に大きく貢献しました。シーガーは大谷に次ぐ長打率とOPSを残し、セミエンは全162試合に出場し最多安打と最多得点を記録。特に、けがにより119試合の出場とはいえシーガーの活躍はインパクトが強く、不気味な存在になりそうです。

また、地元テキサスの記者が2人、またはどちらかに1位票を入れたことにより、2人そろって他球団の候補者を押しのけて3位以内に入ったことも考えられます。なぜなら1位は14点、2位は9点、3位は8点と以下1点ずつ減少。1位票が入ると高得点につながりやすいからです。それでも、ア・リーグで大谷の活躍は群を抜いており、史上初となる2度目の満票MVPに期待したいものです。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)