今年のナ・リーグ西地区は、簡単にドジャースの連覇、とはいかないでしょう。メジャーは3月20日に韓国で開幕し、同28日(日本時間29日)に米国で本格的にスタート。人々の期待とともに新しいシーズンが始まりました。

今シーズン最大の見どころはナ・リーグ西地区でドジャース連覇なるか? また、ドジャース移籍1年目の大谷翔平投手にとって悲願の初優勝なるかです。昨年チームは公式戦100勝と首位独走し、さらにオフは空前の大型補強に成功。キャンプ前には、優勝の大本命と見られていました。

しかし、ここに来て様相が変わって来ました。打倒ドジャースに燃えるライバル球団が相次いで強力な先発投手獲得に成功。それによって大きく戦力アップし、実力差が縮まって来たからです。

まず、昨年地区3位のパドレスは、3月13日にホワイトソックスのエース右腕ディラン・シースを獲得。韓国に開幕シリーズのため出発する直前のトレード成功によって、開幕投手を務めたダルビッシュ有、第2戦に先発したジョー・マスグローブとともにエース級3人がそろい、先発3本柱として期待されます。

続いて、昨年地区4位に沈んだジャイアンツですが、3月19日にFAの先発左腕ブレーク・スネルと2年総額6200万ドル(約93億円)で契約しました。18年ア・リーグのレイズで最多勝と最優秀防御率の2冠を達成し、初のサイ・ヤング賞。昨年はパドレスで同賞に輝き、史上7人目の両リーグ受賞となりました。これで同じチームにサイ・ヤング賞投票1、2位のスネル、ローガン・ウェブという強力な先発2枚看板が誕生しました。

また、ジャイアンツは韓国キウムからポスティングシステムを利用した李政厚外野手、さらにキャンプインしてから2月18日に元ア・リーグ本塁打王でマーリンズFAのホルヘ・ソレア外野手、3月3日にブルージェイズFAのマット・チャプマン三塁手と、積極的に補強を敢行。最大の課題であるパワー不足も補いました。

ダイヤモンドバックスは、昨年ドジャースに公式戦で16ゲーム差も付けられながら地区シリーズで3連勝し、その勢いに乗って22年ぶりリーグ優勝しました。3月29日にレンジャーズからFAの先発左腕ジョーダン・モンゴメリーと1年2500万ドル(約37億5000万円)で契約しました。これでエースのザック・ゲーレンを筆頭にメリル・ケリー、レッドソックスからFAで獲得した左腕エデュアルド・ロドリゲス、昨年レンジャーズで球団史上初の世界一に貢献したモンゴメリーら、ドジャースに引けを取らない先発投手陣となりました。

特にドジャースは大谷、フレディ・フリーマン、マックス・マンシーら、左の強打者が多いだけに、実績ある先発左腕2人の加入は大きく、彼らにとって脅威な存在になると思います。また投手陣だけでなく、マリナーズから通算246本塁打の大砲ユニジオ・スアレス内野手、ジャイアンツFAで通算186本塁打のジョク・ピーダーソン外野手獲得と打線も強化。ドジャースにとって最大のライバルとなり得る存在です。

こうして見ると、今シーズンもドジャース独走かと思いきや、ライバル球団の戦力アップで、必ずしもそうなるとは限りません。多くの強豪チームやスター選手がひしめき合う中、最も活気にあふれるナ・リーグ西地区のペナントレースに注目です。

【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt’s showtime!」)