今シーズンも残り1カ月余りとなり、ペナントレースとともにタイトル争いの行方が気になる時期となりました。中でも、ドジャース大谷翔平投手のファンにとって一番気になるのは、3年連続ホームラン王なるかです。

今季の大谷は、昨年の自己最多54本を上回るペースでホームランを量産。今年も50本以上打てば、3年連続ホームラン王は確実かと思っていました。なぜなら、同じナ・リーグで年間50本以上記録した選手はピート・アロンソ(メッツ)、マット・オルソン(ブレーブス)と、いずれも伸び悩んでいるからです。

19日ロッキーズ戦で44号ソロを放ったドジャース大谷翔平
19日ロッキーズ戦で44号ソロを放ったドジャース大谷翔平

しかし、今年はメジャー全体でカル・ローリー(マリナーズ)を筆頭にカイル・シュワバー(フィリーズ)、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)と、大谷を含めて4人も50本以上のペースで本塁打を打つ選手がいて、ナ・リーグからア・リーグに移籍したユジニオ・スアレス(マリナーズ)を含めれば、史上最多の5人も50本塁打以上の選手が生まれる可能性もあります。

最大の注目は大谷と同じナ・リーグで、ほぼ同じペースでホームランを量産するシュワバーです。このまま行くと初の50本どころか、50本台後半のペースでホームランを打ち続けるメジャー11年目のベテラン。大谷より1歳年上の32歳で左のスラッガーです。

20日マリナーズ戦で45号を放ったフィリーズ・シュワバー(ロイター)
20日マリナーズ戦で45号を放ったフィリーズ・シュワバー(ロイター)

開幕当初は1番、現在は主に2番を打つ千両役者。22年フィリーズ移籍1年目に自己最多の46本塁打を放ち、初めてタイトルを獲得しました。23年はさらに47本と伸ばし、昨年は38本とこれまで1度も50本の大台がありません。なぜなら、昨年まではホームランか三振かという典型的なスラッガータイプの打者でした。しかし、今年は超一流バッターへと変貌を遂げました。

22、23年は、投手有利なカウントで打率わずか1割3分6厘、長打率もわずか2割8分8厘でした。ところが、昨年は打率2割3分、長打率4割4分9厘と著しく改善し、今季初めは打率2割7分7厘、長打率5割9分6厘とさらに向上。2ストライクと追い込まれても、あまりボール球に手を出さなくなりました。

次に22~24年は時速95マイル(約153キロ)以上の速球に対し、打率1割8分、長打率4割3厘と低迷していました。しかし、今季初めはメジャー全体で4位の長打率7割8厘を残すなど、大谷を上回るほどの好数値を記録。特に、近年メジャーは投手の平均球速が年々上がっているだけに、重要な要素と言えます。

さらに今年は左投手に対し長打率5割9分7厘と、大谷の長打率5割6分7厘を上回るほどの好成績をマーク。今年メジャーは「史上最高の左投手のシーズン」とも言われるだけに、左投手に対する成績は非常に重要な意味を持ちます。

そして、何より22年以降の4年間で1度しか負傷者リスト入りがなく、今年は6月27日からのブレーブス3連戦以降15カード連続で本塁打をマーク。今年メジャーで誰よりもコンスタントにホームランを打ち続け、それが大谷と激しいデッドヒートを繰り広げる大きな要因になっています。

かつて、1961年にヤンキースのロジャー・マリスがベーブ・ルース超えの61本、同僚のミッキー・マントルが54本という歴史的な本塁打王争いを展開しました。また、98年にはマーク・マグワイア(カージナルス)とサミー・ソーサ(カブス)が、70本対66本という「世紀の本塁打レース」を繰り広げました。

はたして、今年はどんなハイレベルの本塁打王争いとなるか? 3年連続本塁打王を目指す大谷に対し、3年ぶり2度目のタイトル獲得を狙うシュワバー。世紀の本塁打レースにも引けを取らないぐらいの、歴史的なタイトル争いを期待したいものです。【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)

ドジャース大谷翔平(2025年撮影)
ドジャース大谷翔平(2025年撮影)