ナショナルズの右腕マックス・シャーザー投手が驚異的な好投を続けている。

 現在33歳のシャーザーは最速160キロのフォーシームと136キロに届くスライダー、チェンジアップなどを武器に三振の山を築くMLBを代表する投手として君臨してきた。タイガースに所属していた2013年に21勝3敗、防御率2.90で最初の最多勝とサイヤング賞を受賞。以後14年と16年に最多勝、15年には1シーズンで2回ノーヒットノーランを達成し、16年から2年連続で最多奪三振とサイヤング賞を受賞している。

 今シーズンも5日までで13試合に先発し、10勝1敗、防御率は1.95、奪三振133、勝ち数、奪三振はナ・リーグトップだ。

 5日のレイズ戦では8回まで投げ2点を許したものの、13奪三振を奪う好投を見せた。ただこの試合ではそれ以上にMLB史上に名を連ねる記録を残している。それは6回にイマキュレイト・イニングを達成したことだ。イマキュレイト、一点の曇りもない回とは、イニングを3者連続3球三振、9球で終わらせることを指す。

 この回レイズは8番のジョニー・フィールド捕手から始まり、代打のクリスチャン・アロヨ、1番のダニエル・ロバートソン遊撃手という打順だったがいずれもたった3球で切って取られたのである。特にロバートソンには3球とも155キロを越すフォーシームだった。

 ベースボールの記録を解析しているライアン・スペイダー氏はイマキュレイト・イニングの希少性についてツイッターで「ベースボールの歴史ではこれまで21万6000試合以上あり、完全試合は23試合あった。約0.0106%だ。歴史上だいたい200万イニングあったことになるがイマキュレイト・イニングは91イニングだけだ。約0.0045%だ」と述べている。

 実はシャーザーがイマキュレイト・イニングを達成したのはこの試合だけではない。昨年5月14日のフィリーズ戦でも達成しており、この日は自身2度目の達成だった。MLBで過去イマキュレイト・イニングを2回以上達成したのはレフティ・グローブ、サンデー・コーファックス、ノーラン・ライアン、ランディ・ジョンソンの4人(コーファックスは3回、3人は2回)だけである。現役はシャーザーだけだ。さらに先の4人はいずれも殿堂入りしている。

 この快挙とここまでの成績を考えると、早くも3年連続のサイヤング賞は確実、という声が挙がっているのも頷けるところだ。