ようやくMLBの2020年シーズンが始まることが決まった。7月23日、または24日に開幕し、レギュラーシーズン60試合制で行うことに選手会が合意したことでようやく進展したのである。

とはいえ、失ったものと実際の開催に対することへの危惧も大きい。まず開催されないことが既に決まっているのが7月14日にドジャースタジアムで開催される予定だったオールスターゲームだ。さらに今年初めて開催される予定だったヤンキースとホワイトソックスによる映画「フィールド・オブ・ドリームス」を記念した一戦も既にキャンセルとなっている。

レギュラーシーズンは移動距離を減らす目的で、同リーグのチームと各10試合、他リーグ同地区のチームと各4試合という構成となる。試合は各チームの本拠地で行われる予定だが、最初から不利を強いられそうなのが山口俊投手が所属するブルージェイズだ。現在カナダとの入出国が制限されているため、アメリカ国内の都市に一時的に本拠地を移すことになる可能性が高い。

一方で新型コロナウイルスの感染拡大で本当に予定通りシーズンを進行できるかという懸念もある。無観客で開幕するのはある意味当然だが、それ以前に選手やスタッフの感染の心配がある。実際、既にフィリーズやヤンキース、マリナーズなどで選手やスタッフに感染者が出ており、その数はすでに40人以上に上るとみられているのだ。

MLBは選手に1日2度の検温と1日おきの新型コロナウイルス検査を実施、唾吐きの禁止や攻守交代や用具使用ごとの手洗いや手の消毒など数多くの感染防止策を打ち出しているが、これで十分なのか。

また現在20を超える州で感染者数の拡大が続いているという状況も影響しそうだ。筒香嘉智選手の所属するレイズやマーリンズの本拠地フロリダ州やレンジャーズとアストロズのテキサス州、そして大谷翔平投手のエンゼルスやドジャースなど5チームがあるカリフォルニア州は特に感染者が増えている。今回の感染防止策では本拠地がある地域で感染拡大の危険性が高まれば、シーズン途中に本拠地を変更できるとしているが本当にそんなことが可能か、さらに誰がどう判断するかも不安要素だ。一時集中開催が検討されたスプリングトレーニングの地もフロリダ州だけでなくアリゾナ州も感染拡大が続いている。

このように不安は満載といった状況だが、それでもシーズンの開幕が決まった喜びの方が大きい、というのも本音である。