MLBは1998年にアリゾナとタンパベイが加入して以来、チーム数の拡大を行っていない。現在拡大計画も発表していないが、南部テネシー州ナッシュビルではその時への準備を進めている。

ナッシュビルでのチーム設立を目指すグループ、ミュージックシティ・ベースボールは現地19日、元オールスター選出投手でワールドシリーズ3回優勝経験を持つデーブ・スチュワート氏がリーダーに就任したことを発表した。今後3~5年で拡大が発表された場合チーム獲得を目指すとしている。

スチュワート氏は「メジャーリーグに黒人がオーナーになる時代が来た」と話し、マイノリティーの投資家を優先することを明らかにした。MLBではこれまで元NBA選手のマジック・ジョンソン氏がドジャースの株式を2%保有していたり、元ヤンキースのデレク・ジーター氏がマーリンズの株式を以前4%保有していたりしたことはあったものの、マイノリティーに属する人物が筆頭オーナーになったことはなかった。

スチュワート氏によれば前司法長官アルベルト・ゴンザレス氏を含むグループは拡大チーム獲得のため20億ドルの資金調達を目指すという。ロブ・マンフレッドMLBコミッショナーは昨年、拡大チームを評価する上で22億ドルが基準となると発言していた。

またグループはチーム名として1940、50年代にナッシュビルを本拠地としてニグロリーグに所属していた「ナッシュビル・スターズ」を候補として掲げている。

ナッシュビルは近年、南部におけるスポーツの中心地として急速に発展してきている。1998年にプロアイスホッケーNHLのナッシュビル・プレデターズを、翌年にはプロアメリカンフットボールNFLのテネシー・タイタンズを獲得。2020年には、ナッシュビル・サッカー・クラブがプロサッカーMLSに加盟した。自動車レース、インディカーのミュージックシティグランプリも開催されている。それだけにMLBチーム獲得も有力候補になりそうだ。

ただその一方でMLBはアスレチックスとレイズの本拠地問題の解決を優先することを明らかにしている。スチュワート氏自身も「2週間前にコミッショナーと話したが、同じ問題がまだ残っています。オークランド・アスレチックスとタンパベイ・レイズというホームのない2つのチームがあり、プレーするためのホームを確保することが彼の優先事項です。しかし、彼らが解決すれば、拡張は次の議題になります」との認識を示したということだ。

果たしてナッシュビルがチームを得ることになるか注目したい。