大谷翔平投手やマイク・トラウト外野手などの活躍もあって好調を維持しているエンゼルス。その一方でチームは本拠地エンゼル・スタジアムを巡る不正疑惑というスキャンダルに見舞われている。現地23日には地元アナハイムのハリー・シドゥー市長が辞任するに至った。

エンゼルスは1966年以来本拠地としている同スタジアムに2050年までとどまることで市と合意。さらにチームオーナーのアルテ・モレノ氏が所有する企業に対し、駐車場になっている球場周辺の土地を市から3億2000万ドルで購入し店舗や住宅などの建設を行って再開発することでも2019年に合意していた。

ただしこの計画は適正価格での住宅販売を規定する法律に違反していると地域社会のリーダーやカリフォルニア州の規制当局が反対していたのである。これに対しアナハイム市議会は来月、住宅に関する懸念に対処するための再計画を採決する予定だった。

そこに起こったのがシドゥー市長の不正疑惑だ。市長が土地売却交渉の際、機密事項を球団に提供し、「エンゼルスの著名な代表から再選キャンペーンに多額の寄付を受けることを期待して」売却を押し通そうとしたのだという。

カリフォルニア州司法長官事務所が現地16日に提出した法廷書類によると、録音されていた市長とエンゼルス上級職員との会話で市長は自分の再選キャンペーンのために「最低でも100万ドル」は欲しいと話していたとされている。

さらに市長はこの取引に関する大陪審の調査を妨げようと、関連する電子メールとテキストメッセージを削除しようとしたという。

これに対し、裁判所判事は17日に売却を60日間停止する命令を出し、アナハイム商工会議所の元会頭で市政の中心人物であるトッド・アメント氏は、住宅ローン貸付業者にうそをついた罪で同日、連邦裁判所に起訴されていた。

市長自身は不正行為の罪での起訴されてはいないものの、賄賂、司法妨害、および改ざんの目撃者として告発されている。

市長は弁護士を通じ「球団売却交渉は正当なものであり、政治活動に関する要求をしたことはない。アナハイムの最善の利益のために行動し続ける」とコメントしていたが、結局辞任に追い込まれることとなった。

今後この問題がどのように展開するかまだわからない。チームの調子に影を落とすことがないことを祈るばかりだ。