現地15日、米司法省がニューヨークの連邦地裁に対し、1922年から続くMLBの反トラスト法適用除外を制限するよう要請したと、スポーツ専門局ESPNの電子版などが報じている。

司法省が原告でも被告でもない立場から意見を述べる「利害声明」の提出は、マイナーリーグに所属していた3チームが起こした訴訟を代理したものだ。これらのチームは2020年にMLBがマイナーリーグ所属チームを163から120に削減した際、所属から外された43チームに含まれていた。

司法省はニューヨークの米連邦地裁に提出した書類の中で、反トラスト法適用除外の「免除を狭く定義する」よう裁判所に求めている。これに対し、MLBは適用除外を理由に、訴えの棄却を求めているということだ。

MLBは1922年に連邦最高裁から日本の独占禁止法にあたる反トラスト法の適用から免除されるという判決を得ている。これにより例えばMLBは選手の賃金を抑制したり、チームの自由な移転を制限できるといったことが可能になっているのだ。

またマイナーリーグに関しても選手が他リーグでプレーすることを制限できる。これに対し、免除除外の制限を擁護する団体の主張は、制限されれば賃金や生活環境の改善をチームに迫ることができるようになるというものだ。

アメリカ4大プロリーグにおいてMLBはこの反トラスト法適用除外の特権を持つ唯一のリーグである。そのためこの問題は過去にも度々起こってきた。

1922年の判決は「野球は純粋な州内展示行事であって州をまたがるビジネスには当たらない。よって、反トラスト法の適用対象とはならない」というものだった。その後最高裁は53年と72年にもこの判決を支持している。

だが、2021年に最高裁のニール・ゴーサッチ判事は、1922年の最初の判決以降、市場が変化していることを理由に、野球の反トラスト法適用除外の法的地位を疑問視してもいるのだ。

MLBはESPNに対して今回の件についてコメントしていない。

果たして今回の訴訟に対してどんな判決が下されることになるのか、MLBとマイナーリーグの今後に大きな影響が出る可能性もあり、注目される。