先日開館式が行われたジャッキー・ロビンソン博物館ではアフリカ系アメリカ人選手として初のメジャー契約書が展示されているが、こうしたエポックメークな契約書がコレクターズアイテムと化しつつあるようだ。ボビー・ボニーヤ氏がメッツと交わした有名な契約書がオークションにかけられ、匿名のバイヤーに18万ドルで落札されたのである。

ボニーヤ氏は1985年にホワイトソックスでメジャーデビューし、その後パイレーツで強打のスイッチヒッターとして活躍。以後メッツやオリオールズ、ドジャーズなどでプレーした。98年にメッツに戻ったが、99年のシーズン後放出され、ブレーブスとカージナルスに在籍した後2001年に引退している。通算287本塁打を記録し、オールスターに6回選出された。

そのボニーヤ氏が99年にメッツから放出された際、1年590万ドルの契約が残っていたのだが、当時のフレッド・ウィルポン・オーナーが590万ドルを支払う代わりに年率8%の金利を乗せ、2011年から25年間、年120万ドルを支払うことを提案。これにボニーヤ氏も合意し、新たな契約が結ばれたのである。

この新契約により、毎年7月1日に120万ドルが支払われ続けているのだ。これまでにボニーヤ氏は12回分を受け取っており、72歳になる2035年までに合計2980万ドルを受け取る見込みだ。

この契約は有名で、7月1日は「ボビー・ボニーヤ・デー」と呼ばれるほどである。それだけに今回のオークションは注目された。落札者には契約書そのものだけでなく、ボニーヤ氏、代理人のデニス・ギルバート氏とオンラインで話す権利や、試合で使われたボニーヤのバット、契約書のNFT、2023年に1日シティ・フィールドでボニーヤ氏と過ごす権利なども与えられるということだ。

今回のオークションを開催したゴールディン社の創設者ケン・ゴールディン氏は「一定の野球ファンがこの契約の歴史的意義をよく理解していたことは確かです」と高額で競り落とされたことの背景をコメントしている。

今後このようなこれまで見落とされていたようなアイテムに新たな価値が生まれることが増えていくのかもしれない。