今シーズンから導入され、何かと話題になっているピッチクロック。そのピッチクロックを巡り、ある分野でも熱い視線が注がれている。公式スポンサーだ。スポーツビジネスサイト、フロントオフィススポーツは現地6日、ピッチクロックのスポンサー入札が近く開始されるだろうと報じた。

記事では、広告業界の専門家の話として、時計メーカーやテクノロジー企業がMLB全体のスポンサーになれば、1年で1000万ドル以上の価値があるだろうとのコメントを掲載している。

今シーズンのMLB試合中継では多くの投球場面でピッチクロックが表示されることが多い。そこにスポンサーのロゴなども表示されるようになれば、たしかに広告効果は高そうだ。

「それは数千万ドルかそれ以上の価値がある。時間関連の企業であれば、誰でも飛びつくと思う。特に今シーズンは。とても注目されているし、成功している。誰もが気に入っているようだ。時計や時間に関連する企業であれば、誰でも飛びつくだろう。雑誌のタイムだとしてもだ」という言葉には説得力がある。

またMLB全体でなく、各チーム単位であってもピッチクロックのスポンサーになれば数百万ドルの収益を生むことができそうだ。

実際、時計関係の企業がスポーツリーグや大会などの公式スポンサーになることは古くから多い。プロバスケットボールNBAでは現在、時計ブランドのティソが公式タイムキーパーを務めている。総合格闘技UFCは2021年にタイメックスとグローバルなスポンサーシップ契約を結んだ。ロレックスは米ゴルフ協会とチャンピオンシップの公式タイムキーパー契約を結んでいる。オリンピックもセイコーやロンジン、スウォッチ、オメガなど有力企業が公式計時を担当してきた。

一方で、ピッチクロックによる試合時間の短縮によって場内飲食物の販売機会、特にビールの売り上げが減ってしまったという事例も出ている。これによりブルワーズとダイヤモンドバックスがこれまで7回までとされてきたビールの販売時間を8回まで延長する試みを導入している。

対してピッチクロックのスポンサー導入はリーグにとってもチームにとっても増収にしかならないだろう。中継画面で新たな表示を見る日は近いかもしれない。