ダルビッシュ有投手の移籍で、前田健太投手と日本人の先発投手が2人となったロサンゼルス・ドジャースが、日本でも注目を集めるようになりました。ダルビッシュ投手の移籍前から、大リーグの最多勝利数記録を更新しそうなハイペースで勝ち続けていることもあり、米国でも、早くも「29年ぶりのワールドシリーズ制覇なるか」と話題になっています。

 そんなドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、日本人と米国人のハーフだとご存じでしょうか? 沖縄県出身で、72年の沖縄返還直後の元軍人のアフリカ系米国人の父親と、日本人の母の間に生まれて、その後カリフォルニアで育った経歴の持ち主。それだけでも、ちょっと日本人にとっては親近感が沸きますよね。

 実は私は、15年前の02年5~7月に、カメラマンとしてドジャースに帯同していました。元ヤクルトの石井一久投手(現プロ野球解説者)が、ドジャースに移籍した1年目で、野茂英雄投手もドジャースに戻ってきていて、2人が大活躍した年でした。ナ・リーグ同地区のサンフランシスコ・ジャイアンツには新庄剛志外野手が、同じ西海岸地区には、ア・リーグにシアトル・マリナーズのイチロー外野手と佐々木主浩投手、ドジャースと同じロサンゼルスのエンゼルスにも長谷川滋利投手と、とにかく毎日、日本人プレーヤーの写真を撮影していました。今以上に活気があって、いい時代でした。

 実はその02年は、現在のロバーツ監督が、ドジャースに移籍してきて、本格的にレギュラー選手として活躍をし始めた年でした。俊足の1番打者として45盗塁を記録。大リーガーとしては小柄でしたが、勇猛果敢なヘッドスライディングなど、いつでも全力の気迫満点のプレーが、とってもかっこよかった記憶があります。

 その後は、04年にレッドソックスに移籍。ヤンキースとのリーグチャンピオンシップを0勝3敗で迎えた、崖っぷちの4戦目。リードされて迎えた、本当に絶体絶命だった9回裏に代走で出場して、盗塁を成功。これをきっかけにレッドソックスは、奇跡の4連勝を飾り、その勢いで86年ぶりの世界一に輝きました。「ロバーツが陰のMVPだ」と興奮した記憶があります。

 その後も、どこか気になる存在で、引退後の7年ほど前には、ガンになったという悪いニュースにショックを受けたこともありました。でも、ロバーツ氏は、病気にも打ち勝ち、昨年から自身が大リーガーとして飛躍した古巣に監督として復帰していました。

 何だか、勝手に親近感を感じています。これから10月にかけて、世界一に向けて、より戦いが激しさを増していくドジャースでは、日本人はみんな、ダルビッシュと前田に注目するわけですが、私はひそかにロバーツ監督に注目していこうと思っています。