29年ぶりの世界一を目指すドジャースが、土俵際に追い込まれた。ワールドシリーズ(WS)第5戦が29日(日本時間30日)行われ、ド軍がアストロズに延長10回サヨナラ負け。対戦成績は2勝3敗となり、王手をかけられた。

 WS史上2番目となる5時間17分の大乱戦。敗れた事実を、前田健太投手(29)は冷静に受け止めた。「すごい試合でしたが、勝ちたかった。勝てなかったんで悔しいです」。7-4と3点リードした5回裏。絶対的エースのカーショーが、簡単に2死を取りながら連続四球で一、二塁のピンチを招いた。3番アルテューベを迎え、急きょ前田に出番が巡った。結果は、フルカウントから左中間へ同点3ラン。「行くからには抑えないといけない。信頼して送り出してもらったんで…」。今ポストシーズンで7試合連続無失点の快投が、ついに途切れた。

 この日も両軍合わせて7アーチが飛び交い、5試合終了時で計22本塁打とWS最多記録を更新した。一部には「飛ぶボール」疑惑があるものの、条件は同等。前田も「僕はそんなに変わらないと思う」と、関連性はやんわりと否定した。

 激しい点の取り合いを演じ、9回表に3点ビハインドを追い付いても、白星には届かなかった。ロバーツ監督は疲労感をにじませながらも「これがワールドシリーズ」と力を込めた。前田にしても、引きずる空気はない。「どうあがいてもあと2試合。切り替えてやるしかないです」。熱狂的な本拠地ファンの前で、ア軍にシャンパンファイトをさせるつもりはない。(ヒューストン=四竈衛)