【アナハイム(米カリフォルニア州)13日(日本時間14日)=斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(23)が、ツインズ相手に6回1/3を投げ、3安打1失点。5連続を含む11三振を奪った。前回登板ではカーブで緩急を使った新スタイルを見せ、今回の登板では全球種で三振を奪い相手を翻弄(ほんろう)。この日は母の日で、ピンク色を差し色にしたユニホームを着用。母への感謝の気持ちを届ける快投だった。

 大谷は拳を握り、渾身(こんしん)のガッツポーズでピンチを脱した。6回2死三塁。1点を先制してもらった直後で、流れを左右する場面だった。「しっかり三振を取るところでとれた」。内角低めをえぐったスプリットで11個目の三振を奪った。3安打を浴びたが「安打の打球も打ち取っている打球だったので、良いところを攻められた」。2連勝で波に乗っていたツインズ打線に臆することなく、腕を振った。

 全球種がさえた。3回、3者連続三振を奪った最後の三振の決め球はカーブ。前回登板でカーブと直球の緩急を使って新境地を示したが、この日はそれを決め球にしてみせた。全ての球種で三振を奪ったのは、メジャー6度目の登板で初めて。「4つの球種をしっかり投げられるというのも持ち味だと思う。強い武器になる」。5連続、6回まで毎回の11個。奪三振ショーで、その効力を証明した。

 大谷の印象について、対戦前のメジャーの選手は「160キロ投げるんだろ? 素晴らしいね」と言う。「速球投手」という先入観がある。だが、この日は4つの決め球を操る自由自在の投手。ツインズ打線はそのギャップに惑わされ、中途半端なスイングが目立った。登板ごとに精度が上がる投球に大谷も「日に日に良くなっているなと思っていますし、それを実感できる日がすごく多い」と充実した表情で話した。

 7回1死から四球を出して降板。ソーシア監督から交代を告げられると、もっと大谷を見たかった観客からはブーイングまで起きた。走者を出しての降板に「悔しい気持ちの方が強かった。降板の仕方がすごく大事なので、そういう意味では良い降り方ではなかった」と反省した。それでも、その時点では勝利投手の権利もあった、メジャー移籍後最多103球の力投は、スタンディングオベーションでたたえられた。

 メジャーに挑戦してから、進歩し続けている。この日は米国では母の日で、「勝ち星はなかったので、どうかなと思いますけど(チームが)勝ててそれが一番、良かったかなと思います」と、母加代子さんは、4勝目ではなくチームの勝利を届けた。23歳の孝行息子は、まだまだ成長しそうだ。